トイレの頻度で解雇された女性社員が提訴 「過敏性腸症候群」で悩む現代人は多数
病気という自覚がない人も含め、過敏性腸症候群に悩む人はどの国でも増えている。
アメリカで少し前、ある女性が勤務先のAmazon社から、「トイレの回数が多すぎる」として解雇を言い渡されていた。彼女はそれが不当だとして同社に損害賠償を求める裁判を起こし、過敏性腸症候群のため、頻繁なトイレ使用はやむを得なかったと主張しているという。
腹痛やガス、便通の異常に悩む人がどの国でも増えている現代、裁判の行方には大きな注目が集まりそうだ。
■診断書の提出が遅れる
Amazon社を訴えた女性は、ニュージャージー州在住のマリア・アイリス・ジェニット・オリヴェロさん。昨年7月から同社の倉庫で働くようになり、11月に上司に過敏性腸症候群のため1日6回近く排便があると伝えたところ、「5日以内に医師の診断書を提出せよ」と言われた。
そのため主治医に予約を入れたところ、「早くて6日後」と言う返事だった。上司にはそう説明しておいたにもかかわらず、5日後に解雇が言い渡されたという。
■連邦裁判所での争いも視野に
「過敏性腸症候群で何度もトイレに行くのは自然現象。認めるべきだ」と主張するマリアさんは、Amazon社に対し最低でも7万5,000ドル(日本円にして約823万円)を損害賠償金として求める予定だ。
また支部や倉庫が全米に広がる同社ゆえ、州の最上級裁判所で良い判決が得られなければ、連邦裁判所で争いたいとしている。
同社は以前、スタッフのトイレ利用を監視していると話題になり、評価が下がるのは困るとして、ペットボトルに排尿する男性従業員もいるとの話が飛び出していた。
■「損害賠償請求額が高すぎる」
ただし、マリアさんがその後もAmazon社で順調に働き続けていたと仮定し、それまでの平均勤務時間や賃金を元に報酬を算出すると、1万7,251ドル(約190万円)になるとのこと。むしろマリアさんの損害賠償請求額が不当に高いと批判している。
イギリスの『Mirror』『Metro』などもこの件について報じており、マリアさんの裁判の行方はアメリカ国外でも注目されそうだ。
■過敏性腸症候群に悩む現代人
受診していない、あるいは病名を知らない人を含め、現代は非常に多くの人がこの過敏性腸症候群に悩んでいると考えられている。
下痢型、便秘型、下痢/便秘の混合型、ガス型などに分類され、大腸や小腸に原因となる炎症や異常が見つからないのに、腹痛、便通異常、おならなどに長年苦しむことが特徴だ。
原因には腸内環境、自律神経、ストレス、腸の知覚過敏など諸説あるが、確かなことはわかっていない。胃腸科ばかりか心療内科を受診するケースもあるという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)