雄なしの水槽で雌のサメが単独妊娠・出産 遺伝子学研究に光が刺す
人間においても、単為生殖が可能になる日が来るのだろうか。そのとき男性の必要性は…?
このたびイタリアの水族館で、メスしかいないサメの水槽から赤ちゃんが産まれ、世間は仰天。海洋生物の専門家たちを大いに興奮させている。イギリスの『The Sun』や『Mirror』が報じた。
■10年近く雌のサメのみ
話題になっているのは、イタリアのサルデーニャ島にある『アクアリオ・カーラ・ゴノン』という水族館にいるサメたちだ。
水族館のスタッフによると、この水槽には10年近くオスのサメがおらず、ホシザメのメスが2頭泳いでいた。そのうちの1頭が妊娠し、このたび出産。誕生した赤ちゃんは、スタッフによって『イスペラ』と名付けられたという。
■世界初の繁殖
カーラ・ゴノン水族館のスタッフは、水槽にいる2匹のメスのサメから2つのDNAサンプルを専門の研究所に送り、妊娠・出産した事実を確認した。
このニュースを知り、世界の水族館関係者や海洋学研究者らも「ユニークで興味深いニュースだ」と大変な盛り上がりを見せている。通常はオスメスの両個体で繁殖をする生物が、このように一方のみで妊娠・出産することは「処女懐胎(単為生殖)」と呼ばれ、ホシザメがそれを成し遂げたのは世界初だそうだ。
■単為生殖とは?
精子と卵子が融合する通常の「有性生殖」とは異なり、この「単為生殖」が起きると、産まれる赤ちゃんには母親のクローンが形成される。精子のように振る舞う、未成熟な卵細胞が卵子と受精することが、一般的な単為生殖のメカニズムだと考えられるそうだ。
アリやハチなどの無脊椎動物で起きることが知られているが、爬虫類、魚類、鳥類、クラゲでもそれは発生。ゴキブリ、アブラムシ、ザリガニ、コモドオオトカゲなどでも確認されている。
■ゲノム解析に期待
現在、イタリアのほとんどの遺伝子研究所は新型コロナウイルスの研究に焦点を当てており、このたび誕生したサメの赤ちゃんのDNA分析は、残念ながらかなり後回しになるとのこと。
だが、ホシザメの繁殖方法の1つとして証明されることは、海洋生物における単為生殖の解明が一歩大きく前進することを意味する。「遺伝子学の研究においても重要な進歩をもたらすだろう」と多くの専門家が主張しているようだ。
暗い話ばかりのこの時世にあって、こうした明るいユニークなニュースは貴重だ。「こういう話こそもっと知りたい、聞きたい」と願う人は多いことだろう。
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(文/しらべぇ編集部・桜田 ルイ)