致死率97%の「脳食いアメーバ」で7歳男児死亡 温暖化で世界の淡水に感染の危機
頭痛、発熱、吐き気、幻覚などの異変を訴えてから亡くなるまで平均わずか5日。致死率はなんと97%だという。
川や湖で遊んでいて「脳食いアメーバ」に感染し、原発性アメーバ性髄膜脳炎を起こして死亡するという悲劇が、特にこの時期は話題になる。アメリカ・カリフォルニア州の7歳児がそれで命を落としてしまったことを、『13 News/CBS Sacramento』ほか海外メディアが伝えている。
■湖で遊び感染か
亡くなったのはカリフォルニア州テハマ郡のデヴィッド・プルイットくん(7)。
「脳食いアメーバ」の異名をとる、フォーラーネグレリア(ヘテロロボサ属・学名ネグレリア・フォーレリ)という病原体に感染して重度の脳浮腫を起こし、7日、UC デイビス・メディカル・センター(同州サクラメント)で息を引き取った。
同州の保健当局は「フォーラーネグレリアによる死亡例は、1971年以来10例のみ報告されている」と発表。デヴィッドくんについては、湖に入って泳いでいたことが原因かもしれないとしている。
■死亡まで平均5日間
近年、川や湖で遊んだ人が「脳食いアメーバ」に感染し、原発性アメーバ性髄膜脳炎を起こして死亡する事例が増加の傾向にある。
病原体のフォーラーネグレリアは鼻腔から人間の体に侵入するが、脳組織を食べ始めた場合の致死率はなんと97%。頭痛、発熱、吐き気、幻覚などの異変を訴えてから亡くなるまで、平均わずか5日という速さだという。
■25~35度の水温を好む
アメリカ・疾病予防管理センター(CDC)によると、淡水の微生物を食べるフォーラーネグレリアは、25~35度の水温で活動が増すという。
地球温暖化により川や湖の水温は概して上昇しているため、かつてとは異なる注意が必要になっているとのこと。また、塩素で適切に処理されていないプールや温泉での感染例もあるという。
■撲滅を目指し研究も…
CDCではアメリカ国内の湖、河川、温泉などから各種の病原体を採取しており、「脳食いアメーバの悲劇を年間数名からゼロに」という研究も行われている。
だが、フォーラーネグレリアは多いところでも淡水100リットル中に100個体ほどしか生息していないといい、調査や研究はなかなか難航しているそうだ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)