五輪選手村コロナ陽性者報道に海外で出回り始めたデータ 「大会関係者」具体的には…
海外も注目する選手村滞在者の新型コロナ感染情報。「大会関係者」としか公表しない組織委員会の体質に疑問を感じる人は多い。
17日、東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会は、国内外の計15名が組織委の管理下にあるホテルで14日間の隔離生活を送っているとして、「選手村の滞在者から初めて新型コロナウイルスの陽性者が確認された」と発表した。
選手たちの間で不安が増していると認める橋本聖子会長だが、具体的にどこの誰なのかを一切明かさない。関連情報を模索する人がますます増えるなか、今、あるデータが海外でちょっと話題になっているようだ。
■「大会関係者」より具体的に
それは『Announcement by Tokyo 2020 regarding positive COVID-19 test results among Games-related personnel/東京2020の新型コロナウイルス感染症の陽性者公表範囲について』というもの。
選手村で16日に陽性と判明した該当者について、非居住者で属性は「Games-concerned personnel」と示された。
属性は6種類あり、選手、メディア関係者、東京2020組織委員会職員、業務委託先事業者等、大会ボランティア、そして問題のGames-concerned personnelとは、国際オリ/パラ委員会(IOC/IPC)、国内オリ/パラ委員会(NOC/NPC)、国際競技連盟(IF)、オリンピック放送機構(OBS)などの関係者、そしてオリパラ選手のファミリーやパートナーなどだという。
■属性を明かせない理由は…
ナイジェリアやウガンダの選手などのコロナ感染については、あわや個人の特定にもつながりそうな報道がなされる一方、今回の選手村初陽性者については、あいまいに大会関係者としか示されない。ひょっとしたらごく近い「身内」なのだろうか。
選手、大会ボランティア、調理や清掃業務にあたるスタッフだったらどうしようと不安になる選手たちの精神面を思いやれば、ひとくくりに「大会関係者」で済ませようとする体質はいかがなものか。
海外でこのようなデータが出回るより先に、より詳しい、正しい情報を最初から示すべきであろう。
■情報開示はごく一部
なお、そのデータには「受け入れ責任者が政府や自治体の場合、陽性者が確認されても一覧表には掲載されない」とある。
柔道・ブラジル代表の選手団が事前合宿をしている静岡県浜松市で新型コロナのクラスターが発生し、ホテル従業員や飲食店を中心に9人の感染が確認され波紋を広げているが、このような事例が海外にまで報じられないのは、そうした理由からだろう。
■日本への評価も厳しい
新型コロナ・パンデミック下での東京五輪の開催に関し、国際オリンピック委員会IOCにまるで頭があがらない日本政府の弱さ、決断の遅さ、ワクチン接種率の低さ、呑気かつ楽観的で何事も後手に回る危機管理能力の低さ、そして情報を隠蔽しがちな体質を批判的に報じる海外メディアはますます増えている。
無事な状況下での五輪開催なら「ジャパンは大成功を収めた」と称えてもらえるところだろうが、このコロナ禍はまさに有事。力強く困難を乗り越えている様子すらない日本は、五輪招致がきっかけで国としての評価を暴落させてしまったに違いない。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)