GAPイギリスの全81店舗が閉店へ オンライン販売一本化で失われる繁華街の活気
オンラインショッピング化が加速するGAP。繁華街がまたひとつ、存在感を誇る大型店を失うことになるという。
ファストファッション界の老舗といわれてきた『GAP(ギャップ)』が、ついにイギリスとアイルランドの全ての店舗を閉めるという。ファッション業界は、コロナ禍で大きなあおりを受けている業界のひとつ。
オンラインショッピングサイトの一層の充実を図ることが、今後の戦略となる模様だ。
■全81店舗を閉店に
ネイビーに白い文字で『GAP』と描かれた看板と広い大型の店舗で知られる、1969年アメリカ生まれの『GAP』。イギリスとアイルランドに展開していた全81店舗について、閉店が決定したと発表された。
今年8月末から9月末までの間に段階を踏んで店をたたみ、ショッピングモールやアウトレット内のショップも含まれるという。
■進むオンライン一本化
GAP社は2020年8月下旬の決算報告のなかで、純売上高の減少に伴い、年内に『GAP』と『バナナ・リパブリック(Banana Republic)』合わせて225店舗以上を閉店させると発表。その後はオンラインショッピングでの対応になるとしていた。
特にヨーロッパ全体で事業の在り方について見直しが進められていたといい、イギリスとアイルランドの閉店で、推定1,000人以上の雇用が失われる模様だ。今後は他の国からも同様の発表があると予想されている。
■老舗百貨店も破産申請
栄枯盛衰が激しいこともあるが、外出そのものが減ったこのコロナ禍で、ファッション業界は大きなあおりを受けている。
イギリスではここ1年の間に、創業240年の老舗百貨店『デベナムズ(DEBENHAMS)』、そして『TOPSHOP』『TOPMAN』などの親会社であるアパレルのアルカディア(Arcadia)が破産申請を行った。
『マークス&スペンサー(Marks&Spencer)』や『ネクスト(Next)』なども、売り場面積を縮小するなどしており、どのハイストリート(繁華街)もかつての活気を失っているという。
■商品に実際に触れたい消費者も
ファッション業界でも、ショッピングおよび決済のオンライン化は進む一方だ。高いテナント料、人件費、店舗の維持費などから解放されることで、価格のダウンをと期待されているブランドもある。
それでもなお、「コロナ禍でなければ店舗で実際の布地に触れ、試着してから購入したい」と考えている顧客は多い。人気のショップには、「アフターコロナには再び開店してほしい」と切望する声も寄せられているという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)