来日のインド五輪選手団へ「不公正と差別」報道 在日外国人会は歓迎会を計画か
外国人選手団が続々と来日。その時点で新型コロナウイルス対策の不公平感に、不満が渦巻いていたようだ。
東京五輪のため、各国の選手団が来日した。そんな彼らを「しばらくは籠の中の鳥。自由に動ける身ではない」などと思っているのは、楽観論と性善説を唱えがちな日本政府だけかもしれない。
いくつかの国からやって来る選手団や関係者に課せられた、より厳しい特別な新型コロナウイルス対策に対し、さっそくインド五輪委員会から抗議が寄せられている。その報道から見えてきたのは、大変な「密」となるだろう日本での歓迎会の計画だった。
■6ヶ国にはより厳重な対策
各国の選手団が続々と来日した様子がテレビなどで報じられ、東京五輪に向けた特殊な緊張感に包まれる日々がいよいよ始まった。
インド型変異株「デルタ」の最流行地とされるインド、アフガニスタン、モルディブ、ネパール、パキスタン、スリランカの6ヶ国から来日する選手団や関係者に対しては、「出国前の1週間は毎日ウイルス検査。出国前7日間から入国後3日間は、活動をともにする者のみと交流」という厳しい規則が敷かれている。
また海外には、バングラデシュ、エジプト、マレーシア、イギリス、ベトナムなどが追加されたと報じるメディアもある。
■「歓迎会を準備していたのに」
この措置に対し、さっそくインド五輪委員会は「不公正で差別的」と抗議したが、インドの英語雑誌としては最大の『India Today』は、東京に暮らすインド人たちも「強い差別だ」と嘆いていることを報じた。
「この差別は、自分たち在日インド人が社会、職場、学校などで差別にあうことを意味する」というものだが、他に気になるのは「歓迎会が計画されていたのに」という声だ。
■濃厚接触者の問題も
祖国のヒーローたちが日本にやって来るまたとないチャンスに、在日インド人会やより小さな単位での歓迎会が計画されていたとしても、なんら不思議ではない。これは、他の国籍の選手団でも同様だろう。
ウイルス検査の結果ばかりか、濃厚接触者の指定も選手団にとっては大きな懸念材料だが、そんなときに歓迎会が開かれ、GPSの携帯電話をホテルに置いて出かければトラブルに発展する。とはいえ、選手に「出場停止だ、国外退去だ」と言い渡せる日本人がいるとは思えない。
■東京でやらなくても…
デルタ株の脅威にもかかわらず、東京五輪・パラリンピックは開催されようとしている。しかし、外国人選手団が続々と来日した時点で、早くも不公平感と強い不満が渦巻いてしまった。これでは平和の祭典のイメージはゼロだ。
そもそも厳しい移動・行動の制限を敷いてまで、よりによって若い世代のワクチン接種率が低い、人口が超過密の東京で五輪を開催すべきなのか。「この期に及んでも、いまだに中止を願ってしまう」と話す人は多い。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)