フロリダの崩落マンション地盤が年2ミリ沈下 「湿った海風で塩害も」と専門家

オーシャンフロントで、続々と販売される高級な不動産物件。だが、この事故で考え直す人も…?

2021/06/29 15:30

ウォーターフロント・マンション
(felixmizioznikov/istock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

アメリカ・フロリダ州のマイアミデイド郡で現地時間の24日午前1時30分ごろ、築40年、12階建てのコンドミニアムで崩壊が発生し、建物の面積の半分近くが失われた。

『Miami Herald』『COMMERCIAL OBSERVER』『Sun Sentinel』などが専門家の説明を続々と紹介しているが、付近の地盤は1年につき2ミリメートル前後沈下していたとのこと。塩害も含め、あらためてオーシャンフロント開発事業の難しさが露呈した形だという。


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■救助隊員10名が現場で負傷

崩落したコンドミニアムは、マイアミビーチのすぐ北に位置するサーフサイドの「シャンプラン・タワーズ・サウス・コンド(Champlain Towers South Condo)」。

残っている記録によると、築30年という2011年には、156平米の物件が50万ドル(当時の為替相場では約4,000万円)で販売されていた。

全136戸のうち55戸が失われ、現在も99人と連絡が取れなくなっており、パラグアイの大統領の義姉一家も含まれるという。ただし、マイアミデイド消防局の救助隊員10名が現場で負傷するなど、人命救助はかなり難航している模様だ。

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■点検などは済ませていた

1981年に建てられた物件の安全管理や、メンテナンスに抜かりはなかったのか。サーフサイドの開発事業者やコンドミニアム協会を取材した『Miami Herald』は、ここが築40年目に安全点検の大がかりな検査を受けていたことや、屋根の改修工事で130万ドル(日本円にして約1億4,400万円)の融資を受けたことなどを伝えている。

やるべきことはやっていたという印象で、このあたりの不動産事業は常に黒字であることから、品質のグレードダウンなど偽装があったとも考えにくいようだ。

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■理由のひとつは地盤沈下か

その崩落に関し、フロリダ国際大学のシモン・ウドウィンスキー教授が2020年に発表したデータを『USA TODAY』に伝え、人々の大きな関心を集めている。

教授は「干渉SAR(SAR interferometryまたはInSAR)」と呼ばれる衛星観測画像の分析により、1993年から1999年までマイアミビーチの地盤沈下を追跡した際、その辺りでは年間1~3ミリメートルずつ地盤が沈下していることを知ったという。

また、海沿いの町だけに塩害という問題もある。教授は「地盤沈下もあるが、塩害でひびが入った建物も何百もある。とはいえ、それゆえに崩落すると考える人はまずいない」と話している。


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■建物の劣化自体も早い

コンドミニアム側の代理人を務めるライアン・ポリアコフ弁護士は、塩害説を否定していない1人だが、専門家の多くが首をかしげている現状に、究明にはしばらく時間がかかるだろうとしている。

塩害とは、塩化物イオンによりコンクリート中の鉄筋が腐食することにより起きる。腐食して膨張する鉄筋が、コンクリートにひび割れや剥離を生じさせるのだ。特に海風に含まれる塩分は大敵だといい、海岸からおよそ1kmまでが影響を受けるという。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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