希少ウナギの密輸で大儲けの男が認知症に お金の在処不明のまま4年が経過し…
盗難を恐れて、認知症の人が現金、通帳、有価証券などをとんでもない場所に隠すことは、確かにある。
イギリスで、年金生活者を名乗っていた男について、思わぬ犯罪に手を染めていたことが発覚した。男はウナギの稚魚の密輸で巨額の収益を得ようとして捕まったが、認知症を患い、お金をどこにどう隠したのか思い出せずにいるという。
イギリスのメディア『Mirror』『The Sun』などが報じた。
■表向きは年金生活者
イギリス・サリー州チェシントンで2017年、表向きは年金生活者として暮らしていたギルバート・クーという男が、希少動物の密輸行為で大金を得ていたとして逮捕・起訴された。
ワシントン条約で絶滅危惧種と定められている、ガラスウナギの稚魚「シラスウナギ」をスペインから違法に入手し、いったんグロスターシャーの倉庫に保管。それを破格の値で買い取ってくれるマレーシアや香港の業者に、輸出していたことがわかっている。
■冷蔵魚でウナギを隠す
クー被告による密輸行為は2017年2月15日、ロンドン・ヒースロー空港で、国境警備隊の職員が輸出品を検査するなか偶然に発覚。末端価格が82億円にもなる60万匹のシラスウナギをケースに入れ、それを一般的な冷蔵魚で覆い隠すという手口だった。
まだ生きていた29万匹はスペインに送り返され、当局が野生に戻し、続いて英国家犯罪対策庁の調査が始まった。
■有罪判決の後に新たな問題
2020年3月、サザーク王立裁判所はクー被告に対し、絶滅危惧種の密輸行為について懲役2年執行猶予2年を言い渡し、240時間の社会奉仕活動を命じた。
ところが被告には認知症の問題があった。当局は、クー被告が過去の3年間で最低でも25万英ポンド(日本円で約3,900万円)の不当な利益をあげたとみているが、年月の経過とともに認知症が悪化。
肝心のお金をどこに隠したのか、本人の「思い出せない」という主張に苦戦していることがわかった。
■没収は不可能か
サザーク王立裁判所の判事は、「お金は必ずどこかに隠されている。なんとしても没収しなければならない。来月2日の次回の出廷までに、しっかりと探すように」とクー被告と弁護士に厳しく命じた。
だが、逮捕時に被告は「車こそ所有してるが、住まいは賃貸物件で資産はロクにない」と主張していた。ふと記憶が戻ったとしても正直に申告する可能性は低く、没収はかなり期待薄との見方が強まっているという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)