中華料理店になぜ洋食? 平和軒名物「極厚オムライス」誕生秘話を聞いた
町の中華料理店でたまーに目にする「オムライス」。まさに昭和レトロを感じるスタンダードな一品だ。なぜ中華料理店にこのメニューがあるのか。
■スタンダードなスタイルが嬉しい
閑話休題。大きな鍋で具材をしっかり炒め、ケチャップなどの調味料を追加し、その後急いで丼サイズのご飯を入れる。
さらに炒めるとケチャップライスの良い香りが漂う。日々チャーハンを作られているとあり鍋振りはさすがのもので、時折大きな炎が上がるガス台も中華料理店ならではである。
焼いた卵を上からかぶせ、キレイな形に整形。口に運べば、誰もが「ああ、これこそあの時のオムライス」と思う美味しさ。ケチャップの香り、適度なご飯のふっくら感に、食感を残した玉ねぎと鶏肉。
大盛(100円プラス)にしたので、かなりの量を盛ってくれているのも嬉しい。極厚サイズだ。スプーンいっぱいによそい、口いっぱいに放り込む幸せ。それを感じつつ、ご主人が持ってきてくれた中華スープを箸休めに、ものの10分で完食した。
■なぜオムライスは生まれた?
調理が終わると愛子さんは、カウンターに腰掛け、信じられないスピードで伝票に店のスタンプを押す作業に入っていた。記者がゴクリと水を飲むと、そのコップを置く音に気がつき、「はいはい、お水ですね」とピッチャーを持ってきてくれる。
食後、本題である「なぜオムライスがあるのか」を尋ねた。
すると「その昔、近くのタクシー会社のドライバーさんたちが『たまにはオムライスでも作ってくれないかい』と相談してきたのがきっかけだったと聞いています。カレーもそんなわけで始めて。中華料理店なのにオムライスなんて変わっているでしょう」と愛子さんは笑顔で話す。
近隣に出前を行ってきたこともその一因があるだろう。時代とともにお客のニーズに応え、いまの元気な平和軒がある。
【平和軒】
住所:東京都目黒区中央町2-3-8
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(取材・文/しらべぇ編集部・キモカメコ 佐藤)