ゲームでレベル達成ならず「ムシャクシャした」 隣人皆殺しの男に実刑判決
暴力的なゲームの後の衝動的な殺人。脳がその世界に支配されたのかと思わせるような事件だった。
ロシアのゲーマーの男が、アパートの隣に暮らす一家を皆殺しにし、殺人罪に問われていた事件。裁判所はこのほど、被告の男に終身刑を言い渡した。男を犯行に駆り立てたものは何だったのか、さまざまな事実が明らかにされたことを、イギリスのメディア『EMINETRA』『The Sun』などが報じている。
■隣人トラブルは確認できず
事件はロシア・クラスノヤルスク市のあるアパートで起きた。イワン・イエゾフという34歳の男が、凶器を手に隣に暮らす家族を急襲。公共放送局勤務の世帯主エレナ・ムトウィナさん(47)、77歳の父親、そして9歳の娘ダニエラちゃんの3名を死なせていた。
両家の間でトラブルがあったという事実はなく、殺害の理由が見つからない事件だと報じられていた。
■次々と明らかになる真実
この事件の裁判がこのほど開かれ、法廷ではさまざまな事実が次々と明らかにされた。イエゾフ被告は事件があった日、酒を飲みながら犯行直前まで『ドゥームエターナル/Doom Eternal』というファーストパーソン・シューティングゲームに没頭。しかし、ある瞬間に強い挫折感に襲われたという。
そして「良いところまで行ったのにレベルを達成できず、ひどくムシャクシャして誰かを衝動的に殺したくなった。ひどい憎しみの情に支配された」などと述べている。
■無理心中事件に見せかける
「気づいたらナイフを手にし、無我夢中で隣家の3名を殺害していた」などと主張するイエゾフ被告だが、証拠隠滅を図る狡猾さや冷静さもあった。犯行現場では、それぞれの遺体の位置を変えていたのだ。
その点について、被告は「一家無理心中事件に見えるよう工夫した」と供述。事件現場の遺体の状況からは、77歳の父親がエレナさんと幼い孫を次々と刺殺し、最後に自身の命を絶ったようにも見えたという。
■終身刑が下る
しかし警察は、事件以来、アパートの隣人であるイエゾフ被告が姿を消していることを見逃さなかった。逃走5日目に身柄を取り押さえられた被告は、犯行を認め、殺人および証拠隠滅の罪で起訴された。
裁判で、被告には終身刑が言い渡された。暴力的なゲームの影響で、衝動的に恨みもない相手を惨殺するなどあってはならないことだ。
・合わせて読みたい→遺書には「残された者が悲しむくらいなら全員で」 19歳双子が家族4人と無理心中
(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)