新型コロナで臨死体験した男性 死ぬ瞬間に「感じたもの」「見えたもの」とは…
臨死体験者が、その瞬間に不思議な思考が働いた、あるいは幼い頃の記憶が鮮明に蘇ったなどと語ることは多い。
心停止の状態により医師に「死亡」が宣告されるも、蘇生した人々が臨死体験を語ることがある。このコロナ禍で、アルゼンチン・ブエノスアイレス州の男性がそんな体験を地元メディアの『Infobae』に告白。続いて『Mirror』など世界のメディアが伝えている。
■2度目の感染が重症化
ブエノスアイレス州のペルガミーノに暮らす、現在64歳のノルベルト・ディ・ナターレさん。昨年10月に2度目の新型コロナウイルス感染で市内の病院に入院したが、1週間で症状が軽くなり退院。ところがその翌週、いきなり全身の症状が悪化した。
再びの入院では両側性の重症肺炎と診断され、治療のかいなく危篤状態に。そしてある日、心停止により「死亡」を宣告された。
■死の瞬間に感じたこと…
だが医師が死亡を確認した数分後、ナターレさんの心臓は心拍が再開し、気づいたスタッフの素早い対応で息を吹き返した。そのナターレさんが、このほど地元メディアの取材に応じている。
自身の身に起きていることを脳は理解し、「あ、心臓が止まった…という自覚がありました」というナターレさん。臨死体験者がテレビなどに出演し、絵を描きながら『真っ暗なトンネルに入り、その終わりに光が見えた』と話すことがあるが、「私もまったく同じでした」と述べている。
■「コロナは真に恐ろしい病」
人工呼吸管理が必要だったナターレさんの闘病生活は、蘇生の前後を合わせて4ヶ月にも及んだ。体重は20kg落ち、筋肉が激減して体力や運動能力も低下。体がとにかく弱くなったことを自覚しているという。
「病院では、隣のベッドの仲間が金曜日に死亡し、土曜日に別の1人が亡くなる。日曜日はいよいよ自分の番か…常にそんな状態でした」とナターレさん。新型コロナウイルスは精神的にかなり追いつめられる病気で、なめていたら命取りになると警告している。
■心臓と脳の停止には差
数年前、ニューヨーク大学のサム・パーニア博士が、心肺停止後の蘇生に成功した63名の患者への聞き取りをもとに、「心停止が起きても、脳の機能は同時にはストップしない。死亡宣告後も20秒ほど意識がある」という論文を発表し、話題になったことがある。
臨死体験者には、死の瞬間に視力や思考回路がしっかりと働いた、幼い頃の記憶が鮮明に蘇ったなどと語る人も多いという。幽体離脱という極めて不思議な現象についても気になるところだ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)