「日本のワクチン接種率が低すぎることが問題」 カナダの陸上選手が鋭く批判
東京五輪の開催を主張しながら、なぜかワクチン整備が進まない日本。海外五輪選手団はあきれ、そして怒ってもいるのだろう。
日本各地で予定されていた東京五輪のための事前合宿。ところが海外の選手団から中止の申し出が相次ぎ、楽しみにしていたという地元の人々、少年少女たちをがっかりさせている。もちろん悪いのは新型コロナウイルスだが…。
■来日の何が不安なのか
東京五輪の事前合宿には日本の528もの自治体が「ホストタウン」に名乗り出て、地元の人々もサポートや見学を楽しみにしていた。ところが新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、インド型変異株も流入したとあってか、海外から「中止したい」との申し出が相次いでいる。
そんな中、カナダ陸上競技・女子800メートルの選手であるマデリーン・ケリーさんが、カナダ放送協会CBC/Radio-Canadaの取材に応じ、来日することの何が不安なのかを本音で語った。
■日本のワクチン接種率の低さ
ケリー選手はそこで、「予定どおり7月に東京五輪を開催するのは、公衆衛生上、安全上に大きな不安があり、とても心配です」「今はとにかく新型コロナを中心に考えなければ。五輪よりはるかに大きな問題ですから」「日本のワクチン接種率はあまりにも低いそうですね。それ、間違いなく問題ですよ」と述べている。
首都圏の医師や看護師が開催に反対し、協力の要請に反発していること、開催中止を求めるオンライン署名があることも承知しているという。
■選手団の40人に感染の不安
日本を心配してくれていると考える人も多いだろうが、選手たちは自身のことも真に心配している。なぜなら、ワクチンの有効性は「最大で95%」と報告されているからだ。
カナダの五輪選手団は、接種は義務ではないものの多くが2回の接種を済ませる予定で、800人前後で来日するとみられている。だがワクチンの効き目が表れない者が5%いるかもしれない。つまり最低40人については、新型コロナウイルスに感染して東京で体調を崩す可能性があるのだ。
■ワクチンに関する温度差
「ワクチンに関係なく東京五輪は絶対に行われる」などと固い決意を語る日本政府だが、ワクチン接種率の上昇とともに感染者数の減少、医療現場の改善、経済の回復を実感するようになった欧米諸国の人々は、「まずはワクチンありき。すべてはそこからだ」と主張する。
早く競技に参加したい、全力で戦いメダルを獲得したい。しかし今の日本は不安な材料が多すぎる。海外選手団のこうした叫びは、日本政府への怒りと言っても過言ではないだろう。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)