英国で17日からワクチンパスポート制度開始 東京五輪時の行動規範にも影響か

いよいよ、ワクチンパスポート制度がイギリスで始まる。若者たちは途端に行動が大胆になると、予想されているが…。

2021/05/12 19:00

新型コロナウイルスワクチン・注射
(Chaz Bharj/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

10日の参院予算委員会で、東京五輪開催における新型コロナウイルス感染防止の対策案を明らかにした菅義偉首相。しかしそれは、元気な外国の若者たちが納得するとは思えないものだった。

海外ではいよいよワクチンパスポート制度が始まり、それを得た人は途端に気持ちが大きくなり、行動が大胆になると予想されているからだ。


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■「動線分離の徹底」と菅首相

立憲民主党の蓮舫議員が、10日の参院予算委員会で行った東京五輪の開催に関する質疑が話題になっている。

そのなかで菅首相は「行動規範を、原則として宿泊施設より競技会場などに限定する。選手団と一般国民の接触を厳に回避するため、それぞれの場所での動線分離を徹底し、移動方法を原則、専用車両に限定する」と言い切った。

日本人を安心させるために考えられたことだろうが、その対策案には大きな不安が残る。長い実験期間を経てイギリスでは17日からいよいよワクチンパスポート制度が始まり、他の国もそれに倣う可能性があるからだ。

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■「原則」は揚げ足取りの原因に

ワクチンパスポートという特別な武器を携えて来日する、一部の五輪選手団。行動を厳しく制限されることに、彼らは反発しないだろうか。菅首相によれば、選手団の移動は原則として専用車両を使用するとのこと。

彼らはこれに「あくまでも原則でしょう? 自分たちはタクシーで好きな所に行ってもいいはず」と主張するかもしれないのだ。そんな動きは、他の国の選手団にも影響を与えることだろう。いつしか厳しい行動制限の規則が崩壊し、統率が取れなくなる可能性もありそうだ。

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■待ち受ける再びの行動制限

イギリスでワクチンパスポートを得た人々は、外食、各種イベント、国内旅行などを存分に楽しめるようになる。海外旅行についても12の国・地域では帰国時の検疫が免除されるうえ、行く先々で優遇され、何よりも提示することで相手を安心させるというメリットがある。

ワクチンパスポートのおかげで、自由を謳歌するようになった元気な集団が、ワクチン接種がはかどらない日本に来て、再び行動をガチガチに制限される。反発して注意を受け、口論になるようでは平和の祭典でも何でもなくなるだろう。


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■干渉はいつからいつまで?

浅草をめぐり、銀座や原宿でショッピング。京都を観光し、新幹線に乗り、温泉の旅も体験してみたい。それが海外から日本を訪れる多くの人々の楽しみ方だと言われてきた。

自由に日本を楽しもうと思い、入国を早めたり、東京五輪が閉会してもすぐに帰国せず、個人で各地を回ろうと考える人もいるだろう。

最大9万人ともいわれている東京五輪の選手団や関係者だが、彼らの行動に日本政府として干渉するのは、いつからいつまでなのかという疑問も残りそうだ。

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(取材・文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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