日本にも棲みついた外来種・マングースの恐怖 感染症から鼻・口・四肢を失った女性の例も
あるときマングースに咬まれた女性。感染症は敗血症に進行し、鼻、唇、両腕、両脚を失った。
ハブ退治にと海外から導入され、沖縄や奄美大島などに棲みついた小型哺乳類のマングース。ただし、ハブ退治には役に立たず、在来生物である国の天然記念物、絶滅危惧種、希少種を捕食するなど、生態系にダメージをもたらしていることが問題になっている。
そして南アフリカ共和国には、そのマングースに咬まれて人生が狂ってしまった女性がいる。
■「感染症の怖さを知って」
南アフリカ・クワズール・ナタール州在住のシャニンリア・ヴィッサーさん(37)。彼女は2017年の事故から4年という今年4月、自身が経験したマングースによる恐怖の咬傷事故を世間に知ってもらおうと、『The ShanShow』というドキュメンタリー・トークショーを自主制作した。
その話題は南アフリカ共和国のメディア『Times LIVE』に取り上げられ、イギリスの『The Sun』『Mirror』なども紹介。世界中の人の関心を集めている。
■鼻、口、両腕と両脚を切断
ヴィッサーさんはマングースに咬まれた2日後に体調を崩し、「手と脚がジンジンと燃えているような感覚です」と訴えた。病院へ急いだが病状は敗血症に進行し、組織の壊死も始まった。
医師はヴィッサーさんを人工的な昏睡状態に置くと、鼻、唇、両腕、両脚を切断。「生存率は5%」と告げられたものの、彼女はそれを乗り越え、現在まで再建術など70回近い手術を受けている。
■日本にもいるマングース
ハブを退治させようという狙いで、海外から日本に導入されたマングース。しかし、ハブとさっぱり闘わなければ退治もしていないとたびたび報じられ、むしろグラム陰性菌の「レプトスピラ」の保有率の高さから、人を咬んだ際の感染症が危惧されてきた。
レプトスピラ感染症は、急性の発熱から始まる。重症化すると黄疸、血小板減少症による出血傾向、腎機能障害などが起き、最悪の場合は敗血症から死に至ることがある。
■小さな傷口から感染する例も
家畜、ペットなど、海外からの動物の輸入で持ち込まれることがあるレプトスピラ菌。ミーアキャットをペットにする人がマングースにも興味を示すというが、マングースはペットには決して奨励されないという。
菌を保有する動物に咬まれる、あるいは彼らの尿で汚染された水や食物を口にすることだけが、感染症の原因ではない。そうした水や土壌にわずかな傷口が触れ、菌が体に入り込んだ例も海外では報じられている。
・合わせて読みたい→著名写真家が致死率高い「超多剤耐性菌」感染で死去 32kgも痩せ肺炎が重症化
(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)