世界の新型コロナ感染者数が1億5千万人に迫る 後遺症では耳の不調が目立つ状況も
新型コロナウイルスそのものの影響の他に、投与された薬が内耳にダメージを与えた可能性も考えられるという。
世界の感染者が、一両日中にも計1億5千万人を突破するのではないかとみられている新型コロナウイルス。回復後にも後遺症に悩まされる人が多いというが、味覚、嗅覚、呼吸器ばかりか、耳に異変を訴える人が増えていることがわかってきた。
イギリスでもその傾向が強く表れていることを、同国のメディア『The Guardian』などが伝えている。
■不快な難聴、耳鳴り、めまい
人口6,800万人強のうち、少なくとも440万人の感染が確認されたイギリス。この国では、感染後の耳の不調についての相談や受診が相次いでいるという。
今年3月、イギリスのマンチェスター大学が「後遺症に関するこれまでの各論文をまとめると、新型コロナウイルス患者の7.6%が後遺症として難聴を、14.8%が耳鳴りを、そして7.2%がめまいを訴えていることがわかる」と発表していた。
■受診・相談件数が急増
さらに今月には、『英国耳鳴り協会(British Tinnitus Association=略称:BTA)』も同協会が開設しているウェブ、あるいは電話での相談の件数が急増していることを発表した。
2020年5月から12月の間に受けた相談件数は、2019年の同時期よりウェブチャットで256%、ヘルプラインで16%増加。「新型コロナウイルスに感染する前は正常だった」「初めて耳鼻科を受診したが不安だ」などと訴える人が多いという。
■確実に増えている「耳鳴り」
またネットで検索する人も急増している。2021年2月、Googleでは「耳鳴り」や「耳鳴りの原因」に関する検索の数が、2020年2月と比較して83%も増加したという。
イギリスのアングリア・ラスキン大学で聴覚についての研究を行うエルダー・ビュークスさんは、メディアの取材に「新型コロナウイルスをきっかけに耳鳴りを発症した人もいますが、これまでの耳鳴りが感染でさらに悪化したという人もいます」と話している。
■ウイルスは耳にも棲みつく
英国国立医療技術評価機構(National Institute for Health and Care Excellence=略称:NICE)や米国のジョンズ・ホプキンス大学・頭頚部外科の研究チームは、早くから新型コロナウイルス感染者における聞こえづらさ、耳周辺の痛みに着目。
中耳、そして耳の後ろの骨の「乳様突起」と呼ばれる円錐状の突起部分に、ウイルスが棲みつきやすいことを指摘していた。
だが、「他にも原因があるかもしれません」とビュークスさん。新型コロナウイルス感染者に用いられた薬が内耳にダメージをもたらした可能性も考えられるといい、薬の種類と耳の不調の関係を詳しく調べる必要があるとしている。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)