インド発の国際線旅客機で53名超の新型コロナ感染者 出発前は全員「陰性」
選手と大会関係者だけで世界から数万人が来日する東京五輪。こうした状況にも対応できるのだろうか。
国際線の便を待ち受ける空港では、慎重な新型コロナウイルス検査が行われている。出発前に義務づけられたPCR検査をクリアしても、陽性に転じることがあるからだ。
このほどインドから香港に飛んできた国際線の旅客機において、乗客の少なくとも53名が同ウイルスに感染していることが判明した。『Channel News Asia』や『NEW YORK POST』など各地のメディアが報じている。
■搭乗前の検査で陰性でも…
今年1月からの新型コロナウイルス流行の第四波を、うまく抑え込むことに成功していた香港。その当局が、インドからの渡航受け入れを全面禁止すると発表した。4日、インドのデリーから香港に飛んできたビスタラ航空の便で、少なくとも53人がPCR検査で陽性反応を示したためだ。
同機の乗客の定員は188人。満席ではなかったといい、仮に100人が搭乗していたとすると、2人に1人が感染者という計算になる。ビスタラ航空は乗客全員に対し、出発72時間以内に受けたPCR検査の結果を示すよう義務づけており、陽性者の搭乗は許していないという。
■「二重変異株」も確認
現在、ブラジルと並んで、最も新型コロナウイルスとの苦しい闘いを強いられているインド。今年3月から第二波が訪れたため、感染者の累計は1,560万人を超え、死者は18万2,000人に上る。
今月中旬からは、ほぼ垂直といえるほどの急激な右肩上がりで新規感染者が出ており、1日あたり20万人を超える日も。昨年末には1つのウイルスに2つの変異がみられる「二重変異株」が確認され、それが爆発的な感染力の原因ではないかという。
■隔離措置は3週間の香港
新型コロナウイルスに感染して時間がたっておらず、ウイルス量が少ないと「陰性」を示すなど、PCR検査の感度は70%程度。その後の検査で「陽性」と転じても、何ら不思議はない。
香港当局は海外からの全ての渡航者に対し、PCR検査を何度でも繰り返すこと、入国後3週間の行動制限や隔離を守ることの大切さを、改めて呼びかけている。
■未接種と偽陰性の問題
日本では7月に、東京五輪の開催が予定されている。選手と大会関係者だけでも、最大で9万人ほどが海外から押し寄せるのではないかという。気になるのは、IOCのバッハ会長が「ワクチン接種は義務ではない」との方針を示していることだ。
ワクチン接種率が1%というスローペースな日本に、未接種の人、渡航前のPCR検査で偽陰性だった人が多数入国するとしたら、一体どうなるのだろう。水際対策と隔離体制は万全と言えるのか、とにかく不安は尽きない。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)