「性犯罪やセクハラは女性にも非がある」 マレーシア保健省公式HPがSNSで炎上
「露出度の高い服や肉感的な女性が、職場のセクハラや性犯罪につながる」とマレーシア政府。
職場のセクハラ問題や性犯罪に関し、マレーシア保健省が公式ホームページで、やや偏った見解を示していたことが明らかになった。騒動を受け記載されていた部分は削除されたものの、ほかの問題も再燃するなど、同国の女性の間に波紋を広げてしまった。
『VICE』『The Sun』など、世界のメディアが続々と報じている。
■職場のセクハラについて
マレーシア保健省の公式ホームページはこのところ、新型コロナウイルスの最新情報やワクチン接種の状況などをチェックする人で、アクセスが急激に伸びている。そんな中、ある女性が職場のセクハラ問題や性犯罪に関するページに、こんな呼びかけを発見した。
そこには「女性は一人での残業を極力避けるように」「誤解を招くような思わせぶりな態度をとらない」「肉感的な女性は露出度の高い服を着ないように」と書かれていた。被害者に非があると言わんばかりの政府の考え方に、女性は強いショックを覚えたという。
■女性議員も立ち上がる
女性は14日、マレーシアの女性議員で、女性・家族・地域開発省(Minister of Women, Family and Community Development)の副大臣でもあるハンナ・ヨー(Hannah Yeoh)さんに、ツイッターを通じてコンタクト。記事の削除あるいは修正を検討するよう働きかけてほしいと、訴えた。
ヨーさんも「この考え方は絶対におかしい」と同調し、ただちに保健省に問題を指摘。15日にその部分は削除されたが、2016年からそう記されていたという、さらなる驚きの事実も判明した。
■連発する女性蔑視発言
ヨーさんの投稿は、1,000回もリツイートされた。
マレーシアの健康医療系ウェブサイト『CodeBlue』の編集長は、「たとえば職場のセクハラは、男性の上司の権力乱用で起きています。女性の服装には関係ありません」とツイートするなど、ジャーナリストや著名な人権活動家が続々とコメントを寄せている。
マレーシアでは、これまでも政府や政治家による「女性が野心やキャリア志向を強めると、職場はレズビアンだらけに」「テレワークの今、主婦は身だしなみを整え、やさしく甘える口調で夫に寄り添うように」などというピントのずれた発言が、SNSを炎上させてきた。
■露出度高めの女性は心配?
しらべぇ編集部が全国10~60代の男女1,653名を対象に調査したところ、「露出の多い人を見ると心配になる」と回答した人は全体の63.2%だった。
トップは60代女性の55.3%で、それに続いたのは10代男性の50.0%。男女とも20~40代の割合が下がるのは、肌の露出が目を引いたジュリアナ世代やコギャル文化を知る人も含まれるからだろうか。
なお今回の件で、マレーシア保健省のノール・ヒシャム・アブドラ(Noor Hisham Abdullah) 局長が『マレー・メール』紙の取材に応じ、「あの記載は担当者の個人的な意見だったようだ」と釈明したという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)
対象:全国10代~60代の男女1653名 (有効回答数)