愛犬のトリミングを競う米国の人気番組 奇抜な毛染めが「動物虐待」と批判殺到
すべては高額賞金が目的か。イギリス発のあるテレビ番組に、動物愛護団体や愛犬家から批判が続出している。
飼い主たちが、トリミングを終えた愛犬の美しさを競い合う人気のテレビ番組。だが「これはやり過ぎ。動物虐待ではないか」という批判の声が多々あがっている。アメリカの『NEW YORK POST』や『Inside Edition』が報じている。
■愛犬家の女優をホストに迎え…
イギリスのBBCで、2020年2月から放送が始まった番組『プーチ・パーフェクト(Pooch Perfect)』。評判が良かったことから、アメリカのABC放送でも、女優で愛犬家のレベル・ウィルソンをホストに迎え、今年の3月から放送されている。
同番組は、プロによるトリミングを受けた愛犬が、飼い主と一緒にその美しさをランウェイで披露する。人と犬とがタッグを組む人気のコンテスト番組だ。
■高額賞金目当てにエスカレート
番組がスタートした当初は、見事なカットの腕ひとつで「可愛い」「美しい」と褒めたたえられていた犬たち。ところが、それでは物足りないという声でもあがったのか、出場する犬たちは徐々に奇抜さで勝負するようになってしまった。
優勝賞金は10万ドル(日本円にして約1,100万円)と高額なだけに、トリマーも飼い主も出場が決まると発奮。番組は徐々に、毛をカラフルに染められた犬ばかりが目立つようになった。
■動物愛護団体PETAが反応
しかし、真っ白だった犬がスカンク、トラ柄やハロウィンのパンプキンに変身させられる。またカラフルなパステルカラーに染められたイースター仕様の犬や、ショッキングピンクに染められたプードルに歓声があがる同番組。エスカレートする奇抜さに、SNSでは視聴者からも「不快だ」という声が上がるようになった。
これには動物愛護団体の『PETA(People for the Ethical Treatment of Animals)』も黙っていなかった。「犬たちはストレスと恐怖のなか、何時間も知らない人に体の毛を刈られ、有害な染料で毛を染められ、アレルギー反応が起きれば死に至る危険もある」とし、番組に猛抗議している。
■同番組は反論
これに対し、番組側は「獣医が監修した無毒で安全な染料を使用している」と反論。さらに、一般のトリミングショップや家庭で染めることの難しさについて言及した。
「犬は何かが体に付着すると、振り払おうとブルブルッと身体を震わせる。そのため染料が飛び散り、家具や壁がピンク色に…ということが起きる」と説明。つまり番組としては、愛犬のカラフルな姿を一時的に楽しめる場を飼い主に提供している、と考えている様子だ。
人間の寿命よりはるかに短い犬の生涯。飼うと決めたら日々の散歩を欠かさず、一緒によく遊び、適度におやつをあげ、たくさんの愛情と共に大切に世話してあげたいものだ。
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(文/しらべぇ編集部・桜田 ルイ)