大型施設を巡回する警備員が新型コロナ感染 豪シドニーで再びクラスターの可能性
嫌がらせなどを懸念し、日本では感染者が出た店舗や施設の名称を、公表しない地方自治体がいまだに多いが…。
オーストラリア・ニューサウスウェールズ州の保健当局が、州民に対し、Twitterを通じて新型コロナウイルスに関する大掛かりな注意喚起を行っている。55日間連続で「感染者ゼロ」が好評だった同州。
だが、再び陽性者が出ただけではなく、とんでもない数のクラスターが発生する可能性を秘めているようだ。
■有名ホテル2軒を巡回
ニューサウスウェールズ州保健局はTwitterの公式ページ「NSW Health」で、シドニーの五つ星ホテルであるソフィテル・ウェントワース、そして四つ星ホテルのマントラ・シドニー・セントラル・ヘイマーケット内を巡回していた47歳の警備員が、新型コロナウイルスに感染していることが判明したと発表した。
なお、感染源は3月6日にソフィテルがホテル隔離として迎えた、海外からの渡航者ではないかという。
■行動歴を詳細に公開
NSW Healthは、もっとも感染力が高い期間に警備員と濃厚接触があった者を、130人特定して通知。最近の行動歴を公開し、「この時間帯にここを利用した方は、速やかにウイルス検査を。検査の結果にかかわらず14日間の自主隔離を」と呼び掛けている。
行動歴には、警備員が3月8日から13日まで巡回していた、あるいは自身が利用していた2軒のホテル内の事務所、カフェ、各種レストラン、コンビニ、そして通勤に使用した鉄道などが、時系列で細かくリストアップされている。
■1回の接種では不十分
ホテル、デパート、ショッピングセンターやモールなど、大型施設で働く警備員が感染していた場合、巡回する先々でウイルスをまき散らす可能性がある。彼らも、一刻も早くワクチン接種を済ませることが望ましい職種の一つかもしれない。
また、その警備員はファイザー社のワクチン接種を初回のみ済ませていた。1回の接種を終えた者が感染する例が世界から続々と伝えられており、油断は大敵だ。
■7割弱が「感染者を責めない」
「風評被害や嫌がらせ行為を懸念」という理由で、日本では感染者が出た店舗や施設の名称を、公表しない地方自治体がいまだに多い。しかしニューサウスウェールズ州のこの情報公開は、州民に大変有益な情報として受け止められている様子だ。
しらべぇ編集部が全国の10~60代を対象に調査を実施したところ、「新型コロナウイルス感染者を責める風潮はおかしいと思う」と答えた人は全体の66.3%に上った。
感染力の強い変異株も流行し始め、「もはや嫌がらせ行為などしている場合ではない。情報をきちんと公表して」という声が、日本各地で以前にも増して上がっている。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)
対象:全国10代~60代の男女1,844名 (有効回答数)