「新型コロナ肛門検査」継続する中国 反発されても時には鼻・肛門両方から
「肛門での検査か検便が義務づけられています。約10秒で済みますから」と中国・公衆衛生当局の職員たち。海外からの渡航者に対し、空港では理解を求める呼び掛けが続けられている。
1月下旬から大きな話題になっていた、中国における肛門でのPCR検査。早すぎる検査で生じる「偽陰性」を回避し、陽性率を上げようと考えてのことだという。
日米をはじめ海外からは不満や批判の声も寄せられているが、中国側にそれに動じる気配はないと『The Sun』『BBC』ほかが報じている。
■綿棒を肛門の奥に挿入
リスクが高い基礎疾患がある人たちや高齢者、そして海外から空港に到着した渡航者など、特に速やかに正しいPCR検査の結果がほしいという対象者がいる。
そこで、感染症および呼吸器が専門の北京佑安医院の李侗曾(Li Tongzeng)医師らが強く提唱し、1月から中国で始まったのが肛門でのPCR検査だ。
具体的には生理食塩水に浸した綿棒を肛門の奥3.0~5.0センチほどまで挿入し、ゆっくり回転させるといい、困難な場合は便の提出にも応じている。
■米国の外交官は断固拒否
こうして少し前から、中国の国際空港では海外からの渡航者全員に対し、肛門に綿棒を挿入して検体を採取するよう義務付けてきた。
だが、これに抵抗を感じて「苦痛だ」「屈辱的だ」と言う人は少なくない。先月下旬には、米国の外交官がそれを求められるも拒否し、国務省も抗議に加わり大きなトラブルになった。
また日本でも、加藤勝信官房長官が今月1日の記者会見で、「こうした検査方法を日本人には免除してほしい旨、北京の大使館を通じて中国側に申し入れた」などと述べていた。
■「約10秒で済みますから」
だが、日本や米国から反発の声があがろうと、中国の公衆衛生当局は動じない。
新型コロナウイルスのパンデミックを抑えるために必要な水際対策だと強調し、北京、上海、青島などの空港では、海外からの渡航者に「肛門での検査は義務。約10秒で済むことです。拒むなら便を」と呼び掛け、綿棒と説明書を渡している。
封じ込めに近づいたように見えるも、じわじわと新型コロナの感染者が増えてしまうという中国。先月にはイギリス型変異株の感染例も確認され、国内の数百万人を対象とした肛門でのPCR検査が実施された。
■鼻からも肛門からも…?
ただし、武漢大学の杨占秋(YangZhanqiu)博士らは「新型コロナウイルスはあくまでも呼吸器系の感染症。鼻の奥と喉からの採取が有効だ」と唱えている。
上からか下からか、どちらから検体を採取するとより陽性率が高くなるか結論は出ていない。そのため、鼻から採取して陰性だった人が、「念のため肛門からも」と二重の検査に協力するよう求められることもしばしばだという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)