新型コロナワクチン「肥満者に効果薄く追加接種の検討も」 伊・研究チームが発表
各社の新型コロナウイルスワクチンについては、先発となる欧米諸国が貴重な情報を次々と発信してくれている。日本にとってありがたい話だ。
新型コロナウイルスのワクチン接種に関し、イタリアの研究チームが「肥満は抗体産生の大敵」という調査結果を論文で明らかにし、BMI高値を指摘されている人が多い欧州で関心を集めている。英国のメディア『Mail Online』『Metro』などが大きく報じた。
■2回目接種の7日後に検査
ファイザー社の新型コロナウイルスワクチンは、2度の接種を経ても、重度の肥満である人には、予想したほどの効果が得られないかもしれない。
イタリア・ローマにある総合病院『Istituti Fisioterapici Ospitalieri』で、新型コロナウイルスの様々な調査を続けてきたアルド・ヴェヌティ博士率いる研究チームが、そんな不安な事実を明らかにした。
調査の対象となったのは医療従事者ら248人。2回目の接種後にそれぞれの同ウイルスの抗体価について調べたといい、その結果は査読前の論文を扱う『medRxiv』で紹介された。
■抗体価に大きな差
調査対象者のなかに、肥満度を示すBMI(ボディマス指数)が30を超える者は26人いた。2回のワクチン接種後7日目の測定で、彼らは標準体重の者より新型コロナウイルスの抗体価が低いことが判明。BMIが40以上という重度の肥満がある者では、抗体価が半分程度しかなかったという。
BMIは18.5未満だと低体重、18.5からが普通体重だが、25を超えると肥満度1に。また30超で肥満度2、35超で肥満度3、そして最も深刻なのは40超で肥満度4となる。22前後で「有病率」が最も低いと言われてきた。
■ワクチンに肥満は大敵
英国では成人の3割強、米国では4割が肥満を指摘されている。なかでも重度の肥満があると新型コロナウイルス感染症で命を落とす可能性があり、早めのワクチン接種が呼びかけられてきた。
肥満が接種後の抗体産生をも邪魔をするとはショッキングだが、これはインフルエンザワクチンについても言われていた。BMIが30を超えると体内では常に何らかの炎症が連鎖的に起きており、免疫システムそのものが機能低下しているため、抗体価が上がりにくいと考えられるそうだ。
■追加接種の必要性も
「まだまだサンプル量が少ないため、新型コロナウイルスワクチンの接種、肥満、そして抗体価の関係については、今後も研究を続ける必要がある」とヴェヌティ博士。
ただし、その傾向が一層顕著になってきた場合は「重度の肥満者について、追加のワクチン接種を考慮する必要がありそうだ」とまとめている。
なお、その研究では抗体価の高低はともかく、対象者の99.5%に抗体ができ、若者と70歳以上で抗体レベルに差が生じないことがわかったという。これらは吉報と受け止めてよさそうだ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)