土壁や建具を搔きむしって食べる6歳児 異食症の子を見守る苦しみを母親が激白
本来は食べるべきではない物を、なぜか美味しいと言って食べてしまう「異食症」をご存じだろうか。
スコットランドのある女性が、同じような子供を抱えている母親たちと苦しみを分かち合いたいとして、6歳の息子の「異食症」についてメディアに告白した。土壁や木のドアなどにかじりついてしまう男の子の話題を、英国のメディア『Daily Record』『Mirror』などが伝えている。
■「異食症」とは
毛髪、壁、土、紙、粘土、スポンジなどを美味しいと感じ、貪るように食べてしまう「異食症」。最も有名なのがラプンツェル症候群だ。開腹手術が行われ、胃袋から数キログラムの大きな塊になった毛髪を摘出するという話題が、時おり報じられている。
またアイシャドウを食べすぎたことでヒ素、カドミウム、鉛、ニッケルなどが身体に蓄積し、心臓病を発症した女性もいる。
■好物は土壁や建具の木材
スコットランドのウェスト・ダンバートンシャーでは、6歳の男の子がその異食症を発症。母親がこのほどメディアの取材に匿名で応じ、日々の苦労と今後への不安を吐露した。
「息子は1日中、室内の土壁や建具の木材に歯を立て、あるいは爪で引っ掻いて食べています。常に息子の動きを監視しなければならないというストレスのせいか、最近まで私は心臓発作の疑いで入院していました」と語っている。
■繰り返されるリフォーム
彼女は昨年4月、地元ウェスト・ダンバートンシャーの評議会に息子の異食症について訴え、家のリフォームに行政から補助金が出ることが決まった。
ただちにリフォームが行われ、石膏ボードを用いた乾式の壁に替わったが、息子はやはり歯あるいは爪を立てた。仕方なく自費でプラスチック製の壁に替えたところ、息子はやっとあきらめたという。
続いては家具にカバーを取り付ける予定だが、その先どうなるかはわからない。息子の今後の人生についても不安で、母親は夜になると枕を涙で濡らす日々が続いている。
■重度の自閉症や学習障害も
その男の子には、言葉をまったく話せない重度の自閉症と学習障害の診断が下っていた。異食症と脳機能障害が無関係ではないと知ってショックを受けた母親だが、そこで挫折してはいられない。
「息子は誰にも真似できない、本当にかわいい笑顔の持ち主なんです」と語り、異食による健康被害や痩せから我が子を何としても守りたいと必死だ。
医学的にもまだまだ不明な点が多い脳機能障害。本人やその家庭の苦悩を理解し、2次的に起きる異食症のような現象も含め、社会全体で温かく見守って行くことが大切だろう。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)