1000話到達した『ワンピース』のバトル展開 『鬼滅』からも学ぶ姿勢に脱帽
1000話に到達した『ONE PIECE』は現在四皇とのバトル展開。珍しく2週に渡ったその展開のワンピの変化を分析。
■『鬼滅の刃』ブーム
作者の尾田栄一郎氏の名言の中には「『ONE PIECE』が負けたら研究を始め」るというのがある。そんな中、『鬼滅の刃』が本の週間売り上げランキングでも、最終巻が285.5万部で『ONE PIECE』の66巻の227.5万部を超えた。
さすがに『ONE PIECE』のダントツの歴代発行部数4億8000万部には遠く及ばないが、現在の勢いにおいて『鬼滅の刃』が『ONE PIECE』より多い読者数に至ったと言うこともできる。
『鬼滅の刃』が『ONE PIECE』に勝てたとは必ずしも言えないが、ここ最近の『ONE PIECE』のバトルの力の入れようには、『鬼滅』などがアニメにおいて派手な演出を施され、大いに盛り上がっている状況が影響しているのかもしれない。
■バトルへのテコ入れ
つまり尾田氏はアニメ『鬼滅の刃』から学び、また同時に『ONE PIECE』のアニメに現在の展開を託しているとも解釈できる。
『ONE PIECE』のアニメが評価されにくいならば、漫画の方でその何倍も努力しておこうという意図ともとれるだろう。『ONE PIECE』自体、元々はバトルの爽快感を重視する漫画だった。
また今回のバトルはいつもとは違い、同世代のライバル海賊たちとともにカイドウと対峙している。これによって誰がいつやられるかわからないバトルが組み立てられるようになり、その点も、『鬼滅』の戦いから少し学んでいると言えなくもない。
■進化する漫画家王
以上のように、尾田氏は今日の『鬼滅』から始まる『週刊少年ジャンプ』アニメブームから学び、現在の vs 四皇戦を描いているとみることができる。
ここにおいてバトル重視の『ONE PIECE』に回帰していると解釈することができるだろう。このように、読者に負けない早さで、すぐさま新たなライバルに学ぶ態度こそ『ONE PIECE』が少年漫画の覇者たる所以であると言える。
読者の為には妥協を許さない姿勢こそが漫画家王たる尾田氏であり、まさに新世代の台頭を歓迎する四皇たちのように、引き続き新たなライバルの登場を『ワンピ』のために待ち望んでいることだろう。
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(文/メディア評論家・宮室 信洋)