森喜朗会長の失言に海外から猛反発 専門家は「会議で多弁なのはむしろ男性」
東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長である森喜朗氏。かなりの見当違いだと、海外でもバッシングが相次いでいる。
東京五輪のJOC臨時評議員会における、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長の失言が、海外、とくに欧米で「見当違いも甚だしい」と波紋を広げている。オリンピックには海外から大勢の女性アスリートや大会関係者がやって来るため、このままで良いとは言えない展開だ。
■「とんでもない見当違い」
女性は会議で長く話しすぎるため、女性の多い会議は時間がかかるという森会長の発言に対し、海外では今、「驚くような性差別主義者(sexist)だ」「このような人物は、政治家として、五輪開催国の会長としていかがなものか」といったバッシング報道で沸いている。
英字の報道が増えるにつれ、SNSはますます炎上しているが、日本人が「女性に対する差別や侮辱、男尊女卑を強く感じる」と論じているのに対し、欧米では「とんでもない見当違いだ」と反発する声が目立ってきた。
■著名な米国心理学者の見解
英語圏のSNSでは、米国ペンシルベニア大学のウォートンスクールで教鞭をとる心理学者のアダム・グラント氏のツイートが、注目を集めている。
森会長の見当違いを指摘する同氏は、「うるさく、よく喋り、話を遮られそうになっても黙ろうとしないのは、むしろ男性に多い」と指摘。男性は権力を盾に熱弁をふるいたがる傾向があり、とくに女性がいる会議では、それが顕著になると説明する。
日本の森会長の考え方は、少なくともアメリカでは通用しないようだ。
■カナダの社会学者たちの見解
日本は主要先進国でありながら、いまだ女性が口を開けば「生意気だ」と言われかねない。そんな印象を、海外に与えてしまった森会長。
その失言を糾弾するなか、カナダの大学で社会学、人類学、犯罪学などを教えているデボラ・ジェームズさんとジャニス・ドラキッチさんの研究を、『FOXスポーツニュース』が紹介がした。
「男女どちらがよりおしゃべりか」についての調査・研究は、少なくとも56の論文が発表されており、男性だと結論づけられたのは34、女性だと結論づけられたのは、わずか2件だったと指摘している。
■「森会長はミソジニスト」
職場での女性の地位向上が大きな課題となっているフランスでは、スポーツ系メディアの『Franc Jeuxs』が森会長を「ミソジニスト(misogynist)」と表現。ミソジニストとは、女性を毛嫌いし、差別し、蔑視する人を意味する。
それと同時に森会長の83歳という年齢に触れ、人々は時代遅れの人間が五輪開催国のトップを務めていることを、痛烈に批判していると報じている。
また『France24 News』は、国民の8割が東京五輪の開催を支持しておらず、再延期か中止かと揺れ動いている日本において、森会長は大きな頭痛の種だと伝えた。
厳しい言葉が並ぶ海外の報道の真意を、森会長が理解する日は来るのだろうか。五輪開催日よりも前、それも早急に理解してくれることが重要だ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)