致死率9割のウサギウイルス性出血病が世界的に流行か 日本でも数十匹を確認
動物と人間の共生が、当たり前の世の中。ウサギウイルス性出血病は、現時点ではヒトの健康に害をもたらすものではないというが…。
コロナ禍においては、自宅で過ごす時間が増えた子供たちのために、「ペットを飼おう」と考える人が増えたとのこと。そのなかでも小動物として人気のウサギだが、心配なニュースが海外から飛び込んできた。
■日本も他人事ではない
ヨーロッパ、アフリカ、アジア、ニュージーランド、そして今年5月から全米各地に感染が広がった「ウサギウイルス性出血病2型」をご存じだろうか。特にユタ州で大流行がみられると『ABC News』『NEW YORK POST』などが伝えているが、日本も他人事ではない。
栃木県、茨城県、愛媛県や岩手県など広い範囲にわたり、動物園などでウサギウイルス性出血病2型は確認されており、少なくとも数十匹が死んでいるという。
■感染力は強く致死率も高い
カリシウイルスに属するウサギ出血病ウイルス(Rabbit haemorrhagic disease virus/略称RHDV)が最初に確認されたのは、中国で1984年のことだった。
その新型となるRHDV2は、2010年にフランスで出現。なかなか死滅せず何ヶ月も生き残れることと、感染力の強さ、90%という致死率の高さが特徴だ。ただし、幸いヒトへの感染や健康被害の報告はまだ確認されていないという。
■様々な感染経路
動物園のウサギ小屋などでは、接触感染のほかに、飲食物やその容器の共用といった媒介物感染がある。一方で、野生では感染したウサギとの接触はもちろん、捕食したげっ歯類、鳥などの小動物を通じても感染することがあるという。
またアメリカでは、一緒に飼育されている猫や犬、鳥が持ち込んだウイルスに感染する例が確認されている。
■アルコール消毒は効きにくい
ペットのウサギがいる家庭は、飼育は自宅の中でのみとし、北海道など野生のウサギと遭遇する機会がある土地では、決して近づかないことが重要になる。
もしも口から出血しているように見える場合は、その個体が感染していることを疑うべきだという。なお、このウイルスにアルコール消毒は効きにくく、塩素系消毒液やヨウ素剤が効果的だそうだ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)