プールに基準値の250倍の塩素剤 小学生ら30名が救急搬送され6名は集中治療室に

プールには人の健康を脅かすあらゆる菌が入り込み、その殺菌のため塩素剤が投入されるのは仕方がないことだ。しかし、その量が…。

2020/12/13 14:20

公共プール
(Natalia Sterleva/istock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

不特定多数の人が利用し、鼻水、唾液、尿などを介して様々な菌が紛れ込んでしまう公共のプールには、殺菌のため塩素剤が投入されている。日本の厚生労働省が定める残留塩素濃度は 0.4~1.0mg/Lだ。

そんな中、ロシアで恐ろしい事故が起きたことを、英国のメディア『Mirror』『Mail Online』などが報じている。


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■公共スポーツ施設で

ロシア・アストラハン州の州都であるアストラハン。大勢の利用者がある公共スポーツ施設『ダイナモ(Dynamo)』の室内プールで、大変な事故が発生した。

当時、プールを利用していたのは小児21名を含む30名。次々と体調不良を訴えその場に倒れ込むなどし、ほぼ全員が病院に救急搬送されている。

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■現場は個人の所持品が散乱

通報を受け、地元の警察、消防、保健局の職員らが『ダイナモ』のプールへ。現場の調査にあたった職員は、全員が化学防護服と呼吸を保護するための防毒マスクを装着しており、複合型スポーツ施設全体が物々しい雰囲気に包まれた。

更衣室の床には水泳選手の衣類やタオル、所持品などが散乱しており、利用者が瞬く間に体調の異変をきたしたことを伺わせているという。

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■清掃スタッフの人為的ミス

プールでの水質調査では、極めて大量の塩素(次亜塩素酸)の投入があったことが判明。残留塩素濃度は、定められる基準値の250倍に及んでいた。

州はこの件に関し、「塩素剤はサルモネラ菌や大腸菌などを殺菌するために投入するが、当日これを担当した清掃スタッフが量を間違えたようだ。塩素剤は、スタッフ以外立ち入り禁止の場所に保管されている」などと発表。ただし警察は事件性も視野に入れ、調査を続けている。


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■深刻な6名は集中治療室へ

アストラハン州知事のイゴール・バーブシュキン氏は、ロシア非常事態省(Ministry of Emergency Situations)の職員を迎えて、現場を共に視察。その後、シリシュチェワ・アストラハン地域小児病院で治療を受けている子供たち見舞い、励ます様子が報じられている。

軽症の子供たちは目や喉の痛み、吐き気などを主に訴えたが、病状が深刻な6名は呼吸器に問題が生じているといい、酸素マスクを装着したうえ、集中治療室での観察が続いているという。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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