NHKから国民を守る党が「ゴルフ党」へ党名変更 党勢衰退の起死回生になるか
一時は選挙でも注目を集め、地方議会でも少なからぬ議席を獲得したN国党。しかし最近は支持が伸び悩んでいた。
■庶民の怒りを代弁
立花氏は自身が大卒でないことや候補者も前科者や学歴のない人たちであることを強調。政見放送では、参議院選挙を「令和の百姓一揆」と銘打って次のように述べた。
「エリート国会議員がお代官様で、我々庶民が百姓。『デフレで景気が悪いのに消費税を増税する』『ワンセグ機能付きの携帯電話だと、普通のテレビと同額の受信料だ』『インターネットからも受信料を奪い取る』『ホテルの客室は全室受信料を払え』、もういいかげんにしてくださいませ、お代官様。そんな理不尽なお金、我々庶民は払いたくないし、払えない。令和の時代に生きている庶民の皆さん、鍬や鎌をスマートフォンに持ち替えて、投票という百姓一揆を起こしましょう。私が令和の大塩平八郎となって、皆さんの先頭に立たせていただきます」
まさに、庶民の怒りの代弁者を立花代表は演じたわけであり、それに、日頃鬱憤を抱える層が共鳴し、投票したがために、N国党は参院で1議席を獲得し、政党になれたわけである。
■「政党助成金を増やすための選挙」
立花氏は、NHKをはじめとする悪代官という巨悪に果敢に立ち向かうドンキーホーテをあえて演じ、党勢を拡大してきたのである。
それが、五輪競技であり大衆化しつつあるものの、庶民からともすれば「金持ちの娯楽」とも思われるゴルフを前面に出した政党になることは、自己否定になりはしないか…と筆者は懸念する。
立花氏は次期総選挙を「あくまで政党助成金を増やすための選挙であり、議席獲得は目的ではない」と述べ、1票入ることによりいくらのお金が入るという、さすがNHKで経理をやっていただけのことはある緻密なシミュレーション・銭勘定を披露している。
■原点回帰が必要か
ゴルフ党は新たな試みではあるのだろう。しかしながら、その実験は起死回生になるどころか、失敗に終わりかねない。
30日に評論家の眞鍋厚氏による『山本太郎とN国党』という本が光文社から出版される。そこでは、前回参院選で躍進した山本太郎・前参院議員が率いるれいわ新選組とN国党の勝利の要因を、卓見とも言える視点で徹底分析している。
立花代表のみの独創力と行動力で率いられてきたN国党は、透徹した他者による視点も交え、自己を客観視し、方向性を模索する時期に来ている。立花氏の独り劇場を終わらせ、庶民の党に原点回帰することこそが、いま求められているだろう。
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(取材・文/France10・及川健二)