森達也監督が証言 「学術会議の任命拒否はマッカーシズムやカンボジア大虐殺のよう」
映画監督の森達也氏が21日、国会で開かれた「学術会議任命拒否問題野党合同ヒアリング」に出席した。
菅義偉首相が日本学術会議の推薦した新会員候補者のうち、6名を任命しなかった件について、映画人有志22名が、連名で「日本学術会議への人事介入に対する抗議声明」を発表した。
青山真治氏や是枝裕和氏、塚本晋也氏といった世界的にも著名な映画監督が名を揃えた。
■安倍政権の介入を踏襲
呼びかけ人の一人で、東京新聞の望月衣塑子記者を追った最新作『I〜新聞記者ドキュメント』で知られる中心メンバーの森達也監督が21日、国会内で行われた日本学術会議に関する野党合同ヒアリングに呼ばれ、意見陳述を行った。
森氏は任命拒否について「これはさすがにいくらなんでも…」と思い、その気持ちは言い出しっぺの監督・脚本家の井上淳一氏や森氏がすぐに連絡した是枝監督にも共通していると語る。
「ここまで露骨にやるのか。あけすけなのか。何ら抑制もない。隠そうともしない。理由を聞かれても答えない。誤魔化せよ、と思うが、それすらもない。胸を張ってやっている」と怒りを顕にする森氏。
アカデミズムに対する政権の介入は安倍政権以降、露骨になってきて、菅義偉首相はそれを踏襲していると批判した。
■「言葉がどんどん荒廃」
森氏は、大学や研究への補助金が削減され、政府の意向をくんだ研究に予算をちらつかされ惹かれてしまう中、大学人は踏ん張っていると評価。その象徴的な日本学術会議は重要であるにも関わらず、そこが標的にされたので危機意識を持ったという。
「俯瞰的・総合的に判断した」と菅首相がいう一方、「私は(任命者のリストを)見ていません」と答えたことについて、森氏は「俯瞰とは上から見ることです。上から見たのに、『見ていません』という訳の分からない日本語だ。政治家は言葉が重要です。なのに(安倍政権以降)言葉がどんどん荒廃している」と語り、現政権の説明を批判した。