「中国産より安い」と言われるマツタケの大豊作 気象予報士がその背景を分析
大豊作でかなりお手頃に手に入る今年のマツタケ。降水量と気温の変化からその背景を探ってみると…
クイズ好きの気象予報士・千種ゆり子です。いくつかクイズ番組にも出させて頂いているので、突然ですがここでクイズです。
秋の味覚の最高峰・マツタケ。国内に流通しているマツタケの多くが外国産とも言われていますが…。国内の生産量“第2位”の都道府県はどこでしょう?
正解は、岩手県(ちなみに1位は長野県)。この岩手県のマツタケが、どうやら今年、大豊作らしいのです。
このマツタケ、私が買ったのではありません(泣)。購入者のしらべぇ編集長によると、「中国産より安い」と八百屋さんから聞いたそうな…。うらやましぃぃぃ…。
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■天気と関係が深いマツタケ
マツタケが出やすい条件は天気と関係が深く、どうやら「雨」と「気温」が関係ありそうです。
以前筆者はキノコ博士として知られる九州大学の大賀教授に取材をしたことがあるのですが、夏季の水分がマツタケ菌糸の活性に良い結果をもたらすと考えられるそうで、夏場の降水量の多さが豊作に繋がった可能性があります。
マツタケの一大産地の岩手県岩泉町の7月から9月の合計降水量を見てみると、観測開始以降で3番目に多い826.5ミリ。定期的に雨が降ったことが好影響だったと考えられます。
■キノコ発生の重要条件は「地温の低下」
さて突然ですが、皆さんはキノコの構造について考えたことがありますか?私たちが普段食べているキノコの部分は専門的には「子実体」と言い、それを発生させる菌の部分を「菌糸」と言うんだそうです。
今年9月、この「子実体」について岩手県林業技術センターより新たな研究結果が発表されました。岩手県内陸部の場合、菌糸から子実体が作られ始める地温は15℃と推定されたそうです。
つまり、残暑が長引く年はうまくキノコが作られない、秋になってスッと冷え込みが強まる年はスムーズにキノコが作られる、ということが考えられます。
■今年は順調に地温が下がった?
今年の9月は平年通りに順調に涼しくなり9月中旬には気温が15℃を下回り始めたことから、順調に地温も下がったと考えられます。
夏の降水量でパワーを蓄えた菌糸が「準備万全!」と言わんばかりにキノコを作り始められたことでしょう。なお、週末にかけて東京ではマツタケの子実体が出来るくらいの冷え込みになってきそうです。体調管理にご注意ください。
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(取材・文/気象予報士・千種ゆり子)