体重197キロのゴリラに押し潰され… ベテラン女性飼育員が重体
動物の世話が大好きだった女性の飼育員。その尊い命を何とか助けてあげてほしいと今、誰もが祈っている。
スペイン・マドリードにあり、長きにわたり人々に愛されてきた大型の動物園で、このほど極めて悲劇的な事故が起きた。体重が200キロ近くあるゴリラが女性飼育員を襲い、瀕死の重傷を負わせたという。
■ゴリラがいきなり攻撃
マドリード市のカサデカンポにある、総面積20ヘクタールの巨大なマドリード動物園・水族館。この動物園エリアで27日午前10時頃、29歳のオスのゴリラ「マラボ」がベテラン飼育員の女性を急襲した。
196.8キログラムの体重で押し潰すなどし、女性飼育員に瀕死の重傷を負わせたマラボ。暴徒と化したこのゴリラを鎮静させるにあたっては、獣医が麻酔薬入りダート(矢)を銃で放つしか方法はなかったという。
■胸部と頭部に重傷
女性飼育員はマドリッドの大きな病院に救急車で搬送されたが、脳挫傷および肋骨数本の骨折を伴う胸部の外傷は深刻で、助かる可能性はわずかだと伝えられた。ほかに腕の骨2か所を骨折しているという。
動物園は現在ゴリラのエリアを一時閉鎖しており、当局の調査に協力するとともに「飼育員の回復を祈りたい」と声明を発表している。
■三重の安全扉を突破
女性飼育員は46歳で在職19年。事故当時は、朝食を配ろうといつもの通りゴリラの飼育施設に入っていた。
清掃などの作業をゴリラから隔離された状態で安全に行うため、三段階の扉が設置されているといい、それらは確実に閉じていたのか、あるいはマラボが力づくで扉を突破したのかなど現在も調査が続けられている。なお、現場は一般の見学者の目に触れる場所ではないという。
■何かがマラボを怒らせたのか
マラボは誕生以来、ずっと人間の手により育てられていた。そのため女性飼育員との間には十分な信頼関係があると考えられてきた。しかし、ゴリラの群においては周囲に強い警戒心を見せることが時折あり、それが懸念材料だったという。
マラボをはじめゴリラたちは、すでに落ち着きを取り戻しているとのこと。彼らの間にいったい何が起きていたのか、今後もその“何か”が起きる可能性はあるのかなどを推し量るのは、とても難しい様子だ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)