職場でのイジメを苦に自殺した新婚の夫 後を追った妻も重体に
たった1度きりの人生、そして命。自分が死んだら家族がどれほど悲しむか、若い人たちは、どうか命を大切にしてほしい。
結婚して夫婦となったら、楽しみや喜びを存分に分かち合い、つらいときも互いに支え合い、人生の最も信頼できる相手として生きていくのが理想だろう。
しかし結婚式からわずか数日しか経っていないなか、自ら命を絶ってしまった夫がいる。そして妻は、深い悲しみのなかで絶望してしまった。
■夫は服毒のうえ自損事故
インド・マディヤプラデーシュ州のインドール県で、新婚の若い夫婦が次々と自殺を図ったことがわかり、波紋を広げている。
結婚式からわずか数日後という今月9日、32歳の夫はひとりで車を運転して自損事故を起こした。所持品から遺書が発見され、直前に毒を飲んだことが判明し、自殺による事故と断定された。
■妻は後を追い投身自殺
新婚生活は始まったばかりだというのに、愛する夫に先立たれて絶望感にさいなまれた20代の妻。彼女は将来を期待される研修医だったが、夫の後を追うことを密かに決心した。
実家でしばらく静養することが決まり、飛行機のチケットが準備され、父親が迎えにくるはずだった11日午前、妻はショッピングモールのバルコニーから身を投げた。
なんとか命はとりとめたものの、脚と頭部に重傷を負って予断を許さない状況だ。
■3名を起訴
夫が残した遺書から判明したのは、職場でのハラスメント。請負業者に勤務する夫は、行政より派遣されていたエンジニア2名にひどい扱いを受けていたというのだ。
警察はその2名によるイジメや嫌がらせの事実をつきとめ、自殺幇助(ほうじょ)の疑いがある別の1名とともに起訴している。
自殺率で見ると、インドは10万人あたり16.5人であり、東南アジアのワースト1位。1日平均28人の学生が自殺で死亡しており、自殺を防止する対策や啓発の活動が盛んだという。
■3割が職場いじめを経験
しらべぇ編集部が、全国10〜60代の男女有職者987名を対象に調査したところ、全体の27.5%が「職場でいじめを受けた経験がある」と回答している。
また、日本の自殺率は10万人あたり15.8人で、全体はやや減少傾向にある。しかし15~34歳の若者で見るとむしろ増えており、年少者では親しかった友人との不和、学業不振、進路、親の厳しすぎる叱責や躾などが原因となるケースが多いという。
さらに18歳前後では学業不振や進路の悩みが一気に増え、成人では職場における人間関係の悩みからうつ病を経て、というケースが圧倒的に多いそうだ。
妻にも悩みを打ち明けられず、新婚の夫が自ら命を絶ってしまったこの一件。職場の人間関係や愚痴をこぼせば妻に嫌がられると心配し、夫は孤独な闘いで苦しんでいたのかもしれない。
良き理解者、相談者が身近にいないと感じた人は、『いのちの電話』『こころの相談』などで専門家に悩みを打ち明けることも考えてみてほしい。
・合わせて読みたい→一卵性母娘に悲劇 妻の頻繁な里帰りに激怒した夫が義母を殺害し逮捕
(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)
対象:全国10~60代の男女有職者987名(有効回答数)