高橋由美子、人生狂っていく中年女性を熱演 「できる事は駆け抜ける事だけ」
女優の高橋由美子主演と俳優の鈴木拡樹が出演する舞台「時子さんのトキ」がゲネプロを行い、マスコミに公開された。
■現在社会のリアルを描く
仕事帰りのある寒い夜、路上で一人弾き語りをするシンガー・翔真を目にした中年女性の時子。
夫との離婚、疎遠となった息子、パート先での孤立…彼女の心に穴を開けていく数々の出来事も、健気に頑張る翔真を応援していると、すべてが埋まっていくのだった。しかし、ある日現れた男性に衝撃の一言を告げられる。「翔真という男性に騙されているのではありませんか?」。彼を応援するため貸していたお金は一千万円を超えていた…。
そんな甘いことばかりではない現代社会のリアル、そして人生の歯車が狂っていく独身女性の姿を、時にシビアに時にコミカルに描いたのは作家の田村孝裕氏。同氏は「人は人がいないとダメになる。でも人をダメにするのも人である。そんなお芝居になりました」と同作について語る。
■高橋の熱演が光る
まっすぐながらどこか世渡りが下手な時子を演じたのは、芸能活動30周年を昨年迎え、『ショムニ』『相棒』シリーズ、『篤姫』などにこれまで出演してきた高橋。
舞台上では、仕事もプライベートも昔のようにうまくいかず、どこかしら歩んできた人生に虚しさを感じているという時子の内面を見事に演じきり、「コロナウィルスが世界中で猛威をふるう情勢の中、こうしてお芝居の幕を開けさせて頂ける事に心から感謝を申し上げます。このような時に演劇を行う事へのご意見もあるかと思いますが、今私にできる事は駆け抜ける事だけ。皆様に楽しみにお運び頂き精一杯お迎え出来るよう精進いたします」と、熱意を語った。