20日間で3件の強姦殺害事件 不仲な家同士がいがみ合った犠牲か
「あの家は何もかも許せない。嫌いだ」などと、先代が子孫の心に嫌悪感を植え付けるような言葉を放つことがある。どこかでそれを断ち切らないと…。
村の集落という狭い世界。そのなかで人々が交わす会話といえば、家族の健康の話題や冠婚葬祭、そして進学や就職なども話題にのぼるのだろう。だが「おめでたい話題」は誰にも喜んでもらえるとは限らない。時には深刻な事件につながることもあるようだ。
■20日間に3件もの殺人事件
インド・ウッタルプラデーシュ州のラキンプール・ケリ地区にある集落で、未成年の女の子たちが性的暴行などの末に殺害されるという事件が、8月26日までのわずか20日間の間に3件も起きていた。
進学の際に奨学金の権利を得た17歳の少女が、その手続きに出かけた後でバラバラ遺体となって発見され、続いては13歳、さらに3歳の女の子がそれぞれ強姦されたうえ殺害され、土のなかに遺体を埋められていた。
■不仲は先祖の時代から
それらの事件にはすべて関連性があり、根底には集落内の家と家の間に先祖代々くすぶっている強いライバル意識があった。
敵対関係にある家に関し、おめでたい情報などを耳にすると悔しさや怒りの感情に支配されてしまう男たち。一件目の事件は「あの家の17歳の娘が成績優秀で、奨学金を得て進学するらしい」と聞くやいなや頭に血が上り、凶悪な犯行を思いついたと考えられている。
■報復が報復を呼ぶことも
3件連続した少女殺害事件で一層あらわになった、その集落の家と家の間に存在する憎しみと敵対心。非力な娘たちが家同士の争いごとの犠牲者になるのは、とても許しがたいことだ。
また、娘を殺されたと激しい怒りを炸裂させていた父親が報復に出て、同じように少女誘拐および性的暴行致死事件を起こせば、平和な解決の糸口はますます見つからなくなる。
■女性・子供を誰が守る
ラキンプール・ケリ地区以外の土地でも、いがみ合いや確執のせいで娘の命が危険にさらされるといった事件は多々起きている。
この連続事件をきっかけに「女性と子供の安全と権利を守ろう」と活動家や議員が立ち上がり、州政府を動かし、事態を重く見たインド政府も監視のための組織をひとつ作ることにした。
もっとも、女性や子供の問題に関して政府はロクに機能していないと批判する者は少なくない。「最終的には警察官の意識次第ではないか」との声も聞かれるという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)