「妊娠中の新型コロナ感染で約6件に1件が早産」 WHO調査チームが若い世代に警鐘
妊娠することで免疫力が落ち、肥満や高血圧、糖尿病があればそれが重症化リスク要因になるという。
世界の新型コロナウイルス感染者がついに2,500万人を突破した。流行の第2波、第3波、再びのロックダウン(都市封鎖)といったニュースにやや耳が慣れてしまった感じもするが、やはりこのウイルスは油断大敵だ。
■妊婦11,000人以上を調査
新型コロナウイルスに感染した妊婦の多くが無症状だと報じられるが、全員が無事な出産を迎えられるかというと、そうではないという。
そんな気になるデータを発表したのは、世界保健機関(WHO)/グローバル女性健康協力センターに所属する新型コロナウイルス調査チームの一員で、英バーミンガム大学・代謝システム研究所のシャキーラ・タンガラティナム教授。
感染している妊婦11,000人以上について詳しく調査中だという。
■妊娠中の体の変化
新型コロナウイルスの感染が判明し、入院となった妊婦についてタンガラティナム教授が調査したところ、集中治療室で観察が続けられる者が4%、人工呼吸器を必要とするなど特に重症化する者が3%いることを突き止めた。
妊娠中は、お腹の胎児を異物とみなして攻撃することがないよう体の免疫力がそもそも下がっているが、肥満、妊娠糖尿病や高血圧の問題、そして高齢での妊娠・出産が重症化リスクを上げていると考えられるそうだ。
■25%が新生児集中治療室へ
また自然早産の確率が6%というなか、母親が新型コロナウイルスに感染すると人工早産も含めて17%、つまり出産の5.8件に1件が臨月(妊娠37週~)より前に生まれるとのこと。
早産となった赤ちゃんに関しては、低体温、低血糖、貧血のほか呼吸器障害や慢性肺疾患などが心配される。
ただし、母親が感染者でも死産や新生児死亡の確率は変わらない。赤ちゃんの25%が新生児集中治療室(NICU)へと送られ、そこで十分な観察が続けられるおかげだそうだ。
■「若い世代こそ注意を」
まだ感染予防のワクチンも誕生しておらず、治療法も確立していないにもかかわらず、若者たちが「新型コロナウイルスに感染しても、どうせ無症状か軽く済む」と考えがちであることが、世界的にも問題になっている。
その世代こそ、妊娠している女性、これから子供がほしいと思っている人、そして乳幼児を育てている親が大勢いる。このコロナ禍、誰もがそうしたことを気に留め、弱者にやさしい社会を目指したいものだ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)