世界最年少4歳のパーキンソン患者が死去 5600万人に1人の難病が新型コロナの影響で

「新型コロナの影響で精密検査や手術が延期になった」という話があちこちから聞こえている。

2020/08/09 17:00

子供・入院
(thekopmylife/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

このほどオーストラリアで、世界的にも極めて希少な難病といわれる小児神経難病と闘ってきた男の子が死亡した。高額の募金も目標額に近づき、本当なら3ヶ月前に海外に渡航して遺伝子治療を受けるはずだった。母親は「あまりにも無念です」と肩を落としている。


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■極めて希少な小児神経難病

オーストラリアのメルボルンにて、母親のレベッカ・マーシュさん(41)と兄カリールくん(11)とともに暮らしていた“リトル・ジャリール”くん(4)。

ジャリールくんは生後3ヶ月の時、常染色体劣性遺伝による小児神経難病の「芳香族Lアミノ酸脱炭酸酵素欠損症」と診断された。

家庭で長期の療養が続けられてきたが、症状の特徴からジャリールくんは「世界最年少のパーキンソン病患者」と呼ばれるようになり、神経難病の専門家から高い関心が寄せられていたという。

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■遺伝子治療を受けるはずが…

世界で現在300以上もの疾病が「難病」として認められているが、芳香族Lアミノ酸脱炭酸酵素欠損症は、数ある小児神経難病のなかでも出生5,600万に1人の割合で発生する極めて希少な難病だ。

この難病の遺伝子治療がポーランドの病院で行われていることを知り、レベッカさんはクラウドファンディングにジャリールくんを救おうと募金のページを開設。寄付金額は順調に伸び、今年5月には渡航が予定されていた。

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■不要不急の治療は後回し

だが、それを新型コロナウイルスの世界的パンデミックが阻んだ。ポーランドへの渡航そのものが難しいうえ、病院も新型コロナ患者への対応で手いっぱいだという。

こうして遺伝子治療が延期になったなか、ジャリールくんは少し前から体調を崩すように。合併症として心臓の状態が悪化し、数日間にわたる闘いの末、今月1日、母親と兄が見守るなか息を引き取った。


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■「弱者のことも考えて」

「新型コロナの大流行さえなければ、ジャリールはポーランドで遺伝子治療を受け、今も美しい笑顔を見せてくれていたはずです」とメディアの取材に語るレベッカさん。

感染しても大丈夫とばかり大胆な行動を続け、ソーシャルディスタンスを守らない若者たちに対し、「私の息子のように、新型コロナのせいで様々な影響を受けてしまう弱者や病人がいることを知ってほしい。新型コロナの収束に向けもっと協力を」と訴えている。

なお葬儀に参列できる人数は10名以下と制限され、ジャリールくんの見送りはとても寂しいものとなったという。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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