「流産がバレたら恋人に捨てられる」 看護師姿で病院から新生児を誘拐した女に実刑判決

看護師のユニフォームを身にまとった女は、防犯カメラ、警備員、そして病室の産婦たちを見事に欺いていた。

2020/07/12 08:40

新生児
(Kritchanut/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

出入りの業者から患者の家族まで、たくさんの人が出入りする大病院。そんな中、医療スタッフの姿をした者に不信感を抱く者はまずいない。しかし、時にはその「思い込み」を利用したとんでもない犯罪が起きることも…。


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■誰も不信感を抱かず

昨年12月、中国・貴州省銅仁市の思南(しなん)県にある病院から、新生児の女の子が連れ去られる事件が起きた。犯人は女で、更衣室から盗んだ看護師のユニフォームに着替え、産科病棟に侵入していた。

事件当時、病室には複数の産婦と赤ちゃんがいたが、女の動きはあまりにも自然で不審に思う者はいなかった。母親が隣で深く眠っていた赤ちゃんを狙ったこともわかっている。

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■恋人に捨てられたくなくて…

赤ちゃんは事件から56時間ほど後に、病院のすぐ近くにあるレンタル・ルームで保護され、一緒にいた李という若い女が誘拐罪で逮捕された。

犯行の動機について、李は「流産してしまい、恋人がそれを知ったら態度が変わると思った。捨てられるのが怖くて妊娠のふりを続け、臨月になり赤ちゃんの誘拐を計画した」などと話していた。

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■病院の防犯体制にも問題

裁判が結審され、身勝手な動機から新生児を誘拐した李被告には、1年10ヶ月の懲役刑が言い渡された。ただし、これまで勾留されていた期間も本刑に算入されるという。

また、この事件では病院の防犯体制に不備があったことも指摘された。被告は「看護師の制服を盗むのは簡単だった」と話しており、当時その病院の更衣室は施錠されることがなく、誰でも入れる状況にあったことがわかっている。


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■金銭目的の誘拐事件も

近年、産科病棟から新生児を誘拐する事件が世界各地で発生している。未遂に終わった例も含めれば「多発している」と言えるだろう。

その目的は、このたびのような「赤ちゃんがほしかった」という例だけではない。人身売買、臓器売買で大金を得ることを目的とした犯行が目立ってきている。どの病院も随所に防犯カメラを設置し、不審な行動をとる者がいないか、しっかりとした監視が必要だ。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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