恋人をハサミでメッタ刺し 「オレは神」と語る精神疾患の男が懲役22年に

どんなに暴力的で精神面や人格に問題があっても、関係に終止符を打たずにいた被害者女性。10代の頃の愛情をそのまま大切にしていたのだろうか。

2020/06/14 17:20

ハサミ
(nortongo/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

昨年6月、男が長年にわたり交際していた恋人の首を締め、ハサミでめった刺しするという殺人事件が発生。被告は罪を認めたものの妄想が激しく、殺害動機も今一つ見えてこない中で、事件の裁判が結審した。


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■脳腫瘍の手術を終えた矢先…

オーストラリア・メルボルンで昨年6月、男がズボンを使って恋人の首を締め、枕をかぶせ、ハサミで体中をメッタ刺しにするという陰惨な殺人事件が起きた。

死亡したのは当時31歳だった看護師のケイトリン・オブライエンさん。その1ヶ月前に脳腫瘍の摘出手術を受け、術後の回復がみられた矢先だった。

この事件で殺人罪につき起訴されたのは、オブライエンさんと長年交際していたシア・スタート被告33。犯行の数時間後に自ら最寄りの警察に出頭し、事件現場は彼女の自宅のベッドだと自供した。

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■相次ぐ奇妙な発言

スタート被告は統合失調症を抱え、パーソナリティ障害があることも判明。犯行当時は大麻の影響下にもあった。

被告は犯行の2日前に、オブライエンさんにリンゴを食べるよう強要したことを供述。理由については「俺はイエス・キリスト、彼女はイブになり悟りを開いた」と説明していた。

また、殺人罪での起訴が決まったことを告げられた際には「すげぇ、カッコイイ」と返し、周囲を唖然とさせたこともわかっている。

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■長年のDV被害にも別れず…

カップルは相思相愛だった10代から交際していたが、被告には次第に暴力癖が表れ、2017年の逮捕時には有罪判決が下っていた。

その時、「ここ7年ずっとDVを受けていた」と被害を訴えたオブライエンさんだが、被告の反省、更生や心の成長を期待し、関係に終止符を打つことはなかった。

妄想や豪語の癖がある被告。尊大かつ支配的な態度で長年にわたりオブライエンさんをコントロールしていたとも考えられるが、なぜ彼女がそこまで優しく辛抱強かったのか、理解に苦しむ点も多い。


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■無責任な大麻使用を断罪

ビクトリア州最高裁判所で今月10日、この殺人事件に関する裁判が結審。スタート被告には懲役22年の実刑判決が下った。判事はその量刑の理由として、「ドラッグの使用が自身の精神疾患の増悪を招き、錯乱させることを本人も理解していたはずだ」と述べている。

被告が仮釈放の権利を得るには、最低でも16年間の服役が必要だという。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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