1歳児が大量のマグネットボールを誤飲し緊急摘出手術 「助かったのは奇跡」と医師
幼児による誤飲事故。手に届く場所に危険な物を置かないよう気をつけなければならない。
家庭の中には、タバコ、ボタン電池、コンセントとプラグ、マッチ、ライターなど、小さな子供が手を伸ばせば危険な物がいっぱいある。さらに、磁石式の小さな玩具でも思わぬ事故が起きることを忘れてはならない。
■X線画像に医師の形相が…
オーストラリア・メルボルンにある「モナッシュ小児病院」の救急医療室に、いきなりの高熱と腹痛のため運び込まれてきた、1歳6ヶ月のイモージェン・ファーガソンちゃん。
腹部のX線撮影を行ったところ、大量の小さな丸い粒が腹部の2か所に集まり、大きなかたまりを形成していた。そこで母親のテイガン・ブラウンさんは、前日に「イモージェンがマグネットボールを口に入れていた」と4歳の姉が話していたことを思い出した。
1粒か2粒の話だろうと軽く考えていたテイガンさんだが、姉もじつは2粒を飲み込んでいて、キャンディのようにも見える小さな粒に、幼い子供たちが強い興味を持っていたことがわかる。
■マグネットボールとは…
3D感覚を培う知育玩具として、またオブジェとして、子供にも大人にも人気のマグネットボール。磁力は強力で、1個のサイズは小さい物では直径数ミリメートル。数百個が1セットになって販売されることがほとんどだ。
ただし、幼い子供の誤飲や摘出手術を伴う危険な事故が発生し、日本では2018年、経済産業省・製造産業局生活製品課が「マグネットボールは玩具の安全基準となるST 基準を満たさない。子供向け玩具としての製造・販売の自粛を求める」とし、商品には対象年齢の表示を義務づけた。
■小さな体にメスが入る
緊急摘出手術によりマグネットボール32粒が取り出され、イモージェンちゃんは九死に一生を得た。
磁力を持たないボールであれば便とともに排出されることも期待できるが、それぞれが強力な磁気を持つマグネットボールは、胃腸の中で互いに引き合おうとする。
その状態は、やがて腸の組織の侵食を引き起こし、消化管に穴が開く穿孔(せんこう)や腸閉塞、腸捻転、腹膜炎などが起きれば命の危険があるという。
■危険な物の置き場所に注意を
執刀した外科医は母親に、あと少し処置が遅ければ助けられなかったことを説明。マグネットボールの危険性、そして過去2ヶ月の間に幼児が緊急手術を施すに至った不測の事故を2例挙げ、警告した。
ロックダウン(都市封鎖)によるテレワーク中の出来事で、4歳の姉に1歳6ヶ月の妹の世話を任せっぱなしにしていたことをテイガンさんは猛省。『Channel 7 News』のインタビューでは、「罪悪感からとことん泣きました」と話している。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)