結婚73年の夫婦が6時間差で天国へ 新型コロナの妻と夫は手をつなぎながら…
仲の良い夫婦は、老いるほど「いつも一緒にいたい」と思うもの。そしてお迎えが来たときにも…。
互いを深く愛し、慈しみ合ってきた夫婦は、晩年が近づくにつれ「死ぬ時もふたり一緒に」などと思うようになる。だが神様がいたずらでもしない限り、それを叶える夫婦はまずいない。とても不思議な、そして目頭が熱くなるような話題が米国・ウィスコンシン州から伝えられた。
■同じ日に揃って天国へ
73年前のこと、ウィスコンシン州ミルウォーキーで「健やかなる時も病める時も…」と誓いを立てて結婚したウィルフォード・ケプラーさん(94)と妻のメアリーさん(92)。
常に相手をいたわり、愛し合ってきた2人は、ミルウォーキーのフロエッドタート病院で偶然にも同じ日に息を引き取った。ひとりは新型コロナウイルス感染症が重篤化し、もうひとりは頭部の外傷による事故死だった。
■妻を追い夫が入院
4月8日、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に陽性反応を示し、フロエッドタート病院に入院したメアリーさん。4日後、夫のウィルフォードさんも転倒による頭部外傷で同病院に搬送された。
超高齢かつ糖尿病、高血圧および心血管疾患を抱え、治療の効果が現れないメアリーさん。そしてウィルフォードさんの頭部外傷も経過が悪く、新型コロナの感染も判明した。
それぞれに間もなくお別れの時が来ると判断した医師は、遠く離れている夫妻を隣同士に寝かせることを提案。看護師がベッドを移動し、ふたりの手と手を優しく重ねてあげたという。
■遺族は医師の配慮に感謝
ウィルフォードさんは4月18日に亡くなり、そのわずか6時間後、メアリーさんも夫の後を追うように息を引き取った。
家族であっても、誰ひとり近寄ることが許されない新型コロナ患者の病室。しかし、医師のおかげで夫妻が手をつなぎながら一緒の旅立ちになったことを知り、遺族は「温かいお心遣いに大変感謝しています」と語っている。
■高校時代からの純愛
高校の同窓生だったというケプラー夫妻。在学中にウィルフォードさんは第二次世界大戦に駆り出されたが、文通を続け、戦地から戻るとメアリーさんにプロポーズ。1946年にめでたく挙式した。
1981年、50代にして学士号を取得した努力家のメアリーさん。そして大変もの静かで思慮深い性格だったウィルフォードさん。彼の言葉には、いつも奥深さや重みが感じられた。子供や孫にとり、夫妻は目標の夫婦像そのものだったという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)