新型コロナの入院で発覚 認知症女性の宝飾品を盗んでいた介護ヘルパーを逮捕
新型コロナウイルスに感染した場合、高齢者ではあっという間に重篤化してしまうことがある。
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)を発症したら、家族であってもしばらくは本人に会えなくなる。そんな状況のなかで、認知症患者が思わぬ事件の被害に遭っていたことがわかった。
■高級老人ホームで感染
事件は米国・コロラド州のデンバーにある、高齢者向け高級コンドミニアム「カリオン・アット・ベルビュー・ステーション」の認知症ケア棟で起きた。
そこに暮らすなか、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)に感染して緊急入院し、今月15日に病院で死亡した86歳のバーバラ・ガストさん。同じ棟のスタッフや入所者数名が新型コロナを発症していたという。
■返された所持品の袋に…
遺族がバーバラさんの窃盗被害に気付いたのは、バーバラさんの死後だった。身に着けていたものや所持品のすべてが病院から遺族に返されたが、その袋のなかに、バーバラさんが常に大切に着けていた婚約指輪が入っていなかったためだ。
コンドミニアムの自室を調べたが指輪は見当たらず、ほかにも大事にしていた宝飾品が数点なくなっており、遺族は警察にコンドミニアム内で窃盗被害にあっていた可能性について相談した。
■クレジットカードも悪用か
デンバー警察はその後、日本円にして140万円ほどの価値があるダイヤモンドの婚約指輪ほか、数点の宝飾品を質屋に持ち込んでいたエリザベス・ダニエルズ(29)を逮捕。この女はバーバラさんの介護にあたるヘルパーだった。
ダニエルズはまた、バーバラさんの死亡当日にクレジットカードを盗み、不正使用した疑いももたれている。そのため、盗品を質屋に売却した重罪も含め、起訴にあたって罪状は複数におよぶとみられている。
■「ひどい裏切り」と家族
その認知症ケア棟で新型コロナの感染が広がっていたこともあり、4週間にわたり家族は誰ひとりバーバラさんに会いに行くことを許されなかった。
自分の身辺で起きていることを、なかなか説明できないことが多い認知症の人たち。介護してくれるスタッフの誠実さを常に信じていただけに、このような裏切りに対する家族の怒りは非常に大きい。指輪は幸い回収され、遺族の元に戻っているという。
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(取材・文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)