「新型コロナ」民間療法は黒猫を煮詰めた怪しい液体? ネット販売も物議
ワクチン完成はまだ先、治療薬も治験の最中、そんな状況で怖いのは怪しい民間療法が出回ることだ。
世界の280万人が感染し、19万人を超える死者が出ている新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)。致死率の高いこの呼吸器感染症に世界中が怯えているなか、ベトナムであり得ない民間療法が出回っていることがわかった。
英国のメディア『The Sun』や『METRO』などが報じている。
■怪しい民間療法が横行
首都ハノイを中心にベトナムで今、ラップに包まれた羊羹のようにも見えるドロッとした謎のペースト、そして溶液入りのペットボトルが販売されている。
その主成分は黒猫エキス。「新型コロナはこれで治る」「新型コロナを予防しよう」などという謳い文句にだまされる人々も多く、現在はオンラインでも販売されているという。
■怯える大量の黒猫たち
その情報は、犬肉食を禁じる活動を行っているイギリスの慈善活動団体『No to Dog Meat』にも入り、活動家たちはベトナムへ向かい、問題の生産業者を突き止めた。
現場では非常にむごたらしい光景が繰り広げられていた。大きな檻にはどこで捕まえてきたのかも不明な多数の黒猫たちが怯えている。彼らはやがて木づちで撲殺され、皮をはがされると敷き詰めたワラの上で日干しにされ、その後に熱湯が入った大鍋に入れられるのだ。
■なぜ猫の命を犠牲に…
長時間煮詰められるとネコは取り出され、鍋の中身は真っ黒のペースト状になるまでじっくりと時間をかけて練りあげられる。
「その非道さに戦慄を覚え、血の気が引きました」と述べている『No to Dog Meat』の創設者ジュリア・デ・カデネットさん。いくら新型コロナウイルスが恐ろしいとはいえ、猫の命を犠牲する残酷な民間療法などあってはならないと主張する。
■高級料理店ではグルメとして…
カデネットさんは「中国では犬や猫はペットとして可愛がるのみとし、食することが禁じられたばかりですが、アジア全体でそう認識する必要があります」と訴えている。
ただしベトナムにはネコ科の動物を食べると滋養強壮になる、身体が温まるといった言い伝えがあり、トラやネコは高級料理店でも提供されてきた。
アジアで長く続くこうした食の文化や伝統を断ち切ることについては、「厳しい条例でも示されない限り容易ではない」という声も多い。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)