DV父親が出所し9歳娘を殴殺 新型コロナ感染防止の「受刑者釈放」措置で…
新型コロナウイルス感染拡大防止の措置で、やむを得ず釈放となる受刑者たち。しかしDV犯罪者を家に戻すのは危険だ。
「塀の中」でも新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染が拡大していることを受け、世界各地の刑務所が受刑者の釈放、あるいは一時釈放を迫られている。しかし家庭内で凶悪な暴力事件を起こした者が戻ってくることは、家族にとっては恐怖でしかない。
■新型コロナの感染拡大を受け…
いわゆる「三密」の状況が避けられない、刑務所の特殊かつ閉塞的な環境。新型コロナウイルスの感染者が出れば一気に拡大し、刑務官をはじめとする職員たちの健康も守れなくなる。
そこで世界各地の立法機関が今、感染拡大防止のやむを得ない措置として、テロ事件に関わった者以外の受刑者や勾留中の被疑者の釈放、あるいは一時的な釈放を決定。「予期せぬ出所の機会に受刑者ら歓喜」などと報じられている。
■妻を刺した夫が釈放に
今月14日に同様の措置が決定したトルコでも、国内の刑務所や拘置所に収監されている9万人近くを対象に、15日から釈放および一時釈放が始まっていた。
激しい暴力癖があり、妻を刃物で刺して昨年ガズィアンテプ県の刑務所に投獄されていたムスルム・アスランという33歳の受刑者も、この「コロナ禍」で釈放された一人だった。
■抵抗した長女を激しく殴打
釈放されたアスラン受刑者は、さっそく別居していた妻ルキエさんが暮らす家へ向かい、3人の子供を奪い取ろうとした。
抵抗した9歳の長女セイランちゃんは、腕をしばられて壁に吊るされたうえ、ホースの鞭で叩かれたり激しく殴られたため、床は血で染まっていった。
搬送先の病院でセイランちゃんの死亡が確認され、2人の息子を車に乗せて逃走を図ったアスラン受刑者は、その後に身柄を取り押さえられたという。
■DV男の釈放に怯える女性たち
妻を刺し、さらに長女も殴り殺した男の激しい気性と抑えが効かない暴力癖に、震撼するトルコの女性たち。SNSはこの話題で持ち切りだ。
女性と子供を家庭内暴力から守る活動を続けてきた人権擁護団体の『Femicide Stop』も、「危険な暴力事件を起こした犯罪者を釈放し、自宅に戻すなどあってはならないこと」とエルドアン政権を強く批判する。
トルコでは最初の新型コロナウイルス感染者が確認された3月11日から3月末までの間に、最低でも29人の女性が家庭内で夫あるいはパートナーにより殺害されたと、同団体は説明している。
・合わせて読みたい→南米・新型コロナ蔓延で段ボール製の棺も 遺棄された死体も放置
(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)