東京・港区の酒販店が77%アルコールを共同開発 「今、自分たち酒屋ができることを」

新型コロナウイルス対策でアルコール消毒液も品薄が続く状況。西麻布の老舗酒店の挑戦に迫った。

■医療機関からの発注も

長野屋・消毒用アルコール

しかし、3月23日に厚生労働省が「高濃縮のアルコールを消毒に使ってよい」という事務連絡を出したことで風向きが変わったと、林さんは語る。菊水酒造がアルコール77%のスピリッツを発表して話題になったことも追い風となった。

長野屋のFacebookページで紹介しているくらいにもかかわらず、1万以上のいいねが集まっている。「もともとは1ヶ月300〜400本くらい、うちのお客様だけに届けられればいいと思っていた」というが、現在は病院から数十本まとめて注文も届く。

最初はコストを抑えるため、写真のように表のラベルなしで販売していたが、「NAGANOYA ALCOHOL77%」というラベルも製作した。

「港区は都内でも感染率が高い。今、自分たち酒屋ができることは、それくらいしかない」と林さん。生産・販売本数も限られる中、家族経営で営業時間も短縮している中、順次発送している。また17日には、港区役所で120本のスピリッツを区長に無償で提供した。


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■小さな店だからすぐ動ける

大手メーカーも消毒液・高濃度アルコールを増産していることが報じられているが、林さんは「我々の規模と全然違うメーカーがつくれば、大量生産で安くなる。それまでの間の役目でいい」と語る。

「でも、そこまで待っていられない。小さい店だからすぐ動ける」と、歴史ある街の酒屋さんの矜持を見せた。

取引先の飲食店は多くが休業や時間短縮のため、「お酒の売上は、ないに等しい」という状況。しかし、こうした小さいながらも素早いプロジェクトがコロナの収束を早め、日本の豊かな外食文化を守ることにつながることを祈りたい。

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(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト

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