犬・猫食を禁止する中国・深セン市 6月の「犬肉祭り」は存続するか
中国で昔から伝わる独特な食の習慣や文化。新型コロナウイルスに苦しめられている今だからこそ、変える動きが必要だ。
客の目の前で犬を屠殺して調理する「犬肉祭り」が存在するように、犬・猫の肉を食べる文化を持つ中国。しかし広東省の深セン市では、5月1日から犬や猫を食べることが「禁止」と決まった。
■市人民会議常設委員会が決定
滋養強壮になると主張し、さまざまな動物を食べてきた中国の人々。新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の最初のアウトブレークをみた湖北省武漢市の市場では、生きているロバ、シカ、キツネ、ヘビ、ネズミなども販売という事実が広まり、世界を震撼させた。
しかし広東省の深セン市では、市人民会議常設委員会による3月31日の会議を経て、猫や犬を食べることが5月1日から禁止になると、市民に告知された。
■食べられる動物を限定
告知内容で注目したい最初の点は、委員会が「食べられる動物」をしっかりと定めたことだ。
家畜、家禽として認められるブタ、ウシ、ヒツジ、ロバ、ウサギ、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ハト、ウズラ。そして法的に禁じられていない水生動物などが「食べてよい」として示されたものの、イヌとネコは記されていない。
また、新型コロナウイルスあるいは類似のコロナウイルスを保有していることがわかってきた、コウモリ、センザンコウ、ハクビシンなどもリストに入っていなかった。
■市場価格の最高30倍の罰金
注目したいもう1つの点は、「肉を食べたければ、正規に認められた肉屋・食料品店で購入するように」と示されたこと。これは公共の場はもちろん、家庭内で個人が生きた動物を屠殺し、食肉を得ることを禁じるものだ。
違反者には市場価格の最高30倍までの罰金を科す可能性があるともされており、地元当局による厳しい取り締まりが始まると想定される。
とはいえ、中国当局は2月に野生動物の流通・販売を全国的に禁じたものの、業者は取り締まりの抜け道を見つけ、闇の取引がいまだ横行しているとも報じられている。
■注目集まる「犬肉祭り」
今後さらに問われるのは、広西チワン族自治区玉林で、2009年から毎年6月の夏至に10日間ほど開催されてきた「犬肉祭り」の存続だろう。
祭りのため毎年15,000匹ほどの犬が犠牲になるというが、客の目の前で串刺しにされ、皮を剥がれ、熱湯に浸けられるといった残虐きわまりない所業には、世界中から批判されている。
新型コロナウイルス感染症の蔓延をきっかけに、犬肉祭りは今後いっさい行われなくなると期待する向きも多いが、中止に関する情報はまだ報じられていない。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)