新型コロナ感染も認知症やダウン症があれば治療は後回し? 米国で抗議の声
新型コロナウイルスの患者たちであふれ返り、余裕を失ってしまう医療現場。そこではどうしても「命の選択」が始まる。
新型コロナウイルスが大流行している海外のいくつかの国で、手当ての緊急度に従って優先順をつける「トリアージ」の問題が報じられるようになった。人の命の重みはあくまでも平等で、公平に扱われるべきものとされてきたが…。
■医療従事者も目に涙
新型コロナウイルスに感染した患者の急増を受け、数週間前から入院加療の体制に余裕がなくなったイタリアでも、トリアージの報道がされている。
救える命、若い命が優先的に治療され、そもそも重症化するハイリスク群とされる高齢者、糖尿病、高血圧、基礎・慢性疾患や重い既往歴を持つ患者の治療は「後回し」にならざるを得ない。
胸痛や呼吸困難を訴える患者を見捨てなければならない辛さが、医療従事者をさらに苦しめているという。
■非情な治療ガイドライン
いまや新型コロナの感染者数が世界ワースト1となった米国も、それぞれの州で新型コロナに関する治療方針が早急に策定された模様だ。しかし、アラバマ州、ワシントン州、アリゾナ州が医師会に示したガイドラインが「非情だ」と話題になっている。
ガイドラインには、人工呼吸器や医薬品が不足した場合、ダウン症、脳神経障害を伴う身体障害、重度の精神発達遅滞、重い認知症などがあると、正しい治療を受けられない可能性が出てくるとしている。
■見捨てられる無念さ
新型肺炎の患者があふれた医療現場においては、やむを得ないといわれている「命の選択」。
ガイドラインに対し、やはり各疾患の患者会や家族から「ひどい差別、不平等だ」との抗議の声が上がっている。
■日本も他人事ではない
感染しない・させないという国民ひとりひとりの自覚が欠如すると、やがて新型コロナの爆発的な流行が始まり、患者があふれ返れば医療現場ではトリアージが始まる。
かかってもどうせ無症状か軽症で終わるなどと甘く考える若者が仲間と街に繰り出し、パーティやイベントを開催しているような都会では、自粛や要請より強制力を持つロックダウン(都市封鎖)しか選択肢はなくなる。
ちなみに英国のロックダウンでは、目的もなく外出すると12万円もの罰金刑。「そうでもしなければ新型コロナの終息は見えてこない」と真剣そのものだ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)