マンション24階からリンゴ落下 乳児の頭に直撃し半身不随に
高層住宅がますます増えているのは日本も同じ。すべての住民が互いの安全のため気を付けなければならないことがある。
春は風の強い日が多い。高層でなくとも団地やマンションに暮らす人々は、落下しそうなものがベランダに置かれていないか気を付けていることだろう。また誤って何かを落としてしまった時にも、その後を確認する義務があるはずだ。
■24階の高さからリンゴが…
中国・広東省東莞(とうかん)市で2018年3月9日、あるマンションの24階バルコニーから11歳の少女がリンゴを落としてしまった。
すぐ下には住民ほか複数の人がおり、落下したリンゴは祖母の腕に抱っこされていた生後3ヶ月の赤ちゃんのまだ柔らかい頭部を直撃。24階の高さから落ちてくるリンゴの破壊力はただごとではない。
■黙っていた少女
その後、バルコニーからリンゴを落とした人物について捜査が開始された。リンゴが頭蓋骨に当たった鈍い衝突音や人々の悲鳴・絶叫などに気付かなかったとは考えにくいが、11歳の少女は自分が加害者であることを名乗り出ていなかった。
警察はリンゴの表面に付着していた物質についてDNA鑑定を行い、そこで24階に暮らす少女を特定。父親は記者会見で「娘はその日ひとりで留守番していた。愛犬に与えようとして誤って落としたと聞いている」と説明している。
■医療費は220万円でも…
搬送先の病院で、脳挫傷、頭蓋骨骨折、脳内出血、外傷性ショックなどが認められた赤ちゃんには懸命なる治療が行われ、一命は取り留めたものの右の脳はまったく機能せず、半身不随の後遺症が確認された。
11歳少女の両親は赤ちゃんの両親に対して日本円にして約50万円をすぐに渡しているが、医療費は220万円にふくれあがり、赤ちゃんの両親は提訴に踏み切った。このほどその裁判が閉廷。被告は約2,800万円もの損害賠償金を赤ちゃんの両親に支払うよう命じられ、そこで決着をみたという。
■人は「殺人ゴミ」と呼ぶ
高層マンションが乱立する中国の都市部では、強風や人が誤って触れたせいで窓やバルコニーから落ちる物体を「殺人ゴミ」と呼ぶ。事故が起きた際の損害賠償はきわめて高額になり、一生その支払いに追われることを覚悟しなければならないともいわれている。
日本も例外ではない。バルコニーや窓の近くに危険な物を置かない、決して物を落とさない、落としたらどのような物でもその後を確認する、これらはすべての住民が互いの安全のため守るべき最低限のルールだろう。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)