コロナ感染の爆発的増加に備える… 見本市会場にベッドを入れて収容も
日本の新型コロナ医療崩壊を前に危機感を募らせる岡田晴恵教授。先を見据えた迅速で的確な決断が必要だ。
新型コロナウイルスのこのところの急激な感染拡大と医療崩壊の危機に関し、日本ではホテルを借り切って病床として使う案、新しく専門施設を建設する案などが語られるようになった。だが海外では、違う方法ですでに「封じ込め作戦」が始まっている。
■医療現場はパンク寸前
4月1日、テレビ朝日系『羽鳥慎一モーニングショー』で新型コロナウイルスの急激な感染拡大で医療現場がパンク寸前という話題に関し、医学博士で白鴎大学教授の岡田晴恵氏から興味深い発言があった。
このまま感染者数が急増していけば、病床の不足は現実のものとなると危機感を強調する岡田氏。医療現場のその先のあり方についても言及した。
■だだっ広いフロアに大量の病床
「体育館のような施設を借り切り、大きなフロアに軽症の患者を一気に集めて治療にあたるようにするんです」「そこでは誰もが感染者ですから一緒にしてしまってもいいのです」などと発言した岡田氏。
体育館や大型の公共施設のだだっ広いフロアに、簡単な間仕切りとともに並べて設置された大量のベッド。そこに新型コロナ患者が次々と送られてくる様子は、中国からも映像でたびたび伝えられていた。岡田氏は日本についても「最後の段階ではそうなります」と述べている。
■欧米の大型商業施設はすでに…
じつは先週、イギリスのジョンソン首相および保健当局が、このやり方に踏み切ることを発表していた。
コミコンも開催されたことがある、ロンドンのウォーターフロント再開発地区に建つ大型コンベンションセンターの『エクセル展覧会センター(ExCel London)』。その広大なフロアでは今、軍の協力を得て500台のベッドと医療器具の搬入・設置が急ピッチで行われている。最終的には4,000人の患者を収容する予定だ。
人が大勢集まるビッグイベントは軒並み中止だからこそ可能になる、中国が最初に試みたこの方法。スペイン・マドリードの『IFEMAエキシビションセンター』やニューヨークの『ジェイコブ・ジャヴィッツ・コンベンションセンター』なども、現在は新型コロナ治療センターに変わっている。
■合理的かつメリットは多い
広大なフロアを持つ大型商業施設を「新型コロナウイルス治療センター」として利用するメリットは多いという。
1人の医師が多くの患者に広く目が行き届くようになる、人工呼吸器の共有が簡単になる、シフト制にゆとりが出て医療スタッフがしっかりと休養できる、などだが、各病院が別の病気で入院加療中の患者の治療に安心してあたれるというメリットもある。
日本では「ホテルをまるごと借り切って病院の機能を持たせる」といった案も浮上しているようだが、やはりその後の風評被害が気になる。
岡田氏は、一気に大量のベッドが並ぶことに「野戦病院のような感じを想像されるかもしれませんが…」と述べるなどやや遠慮がちだったが、その方法も一案として早めに検討する価値はありそうだ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)