春一番はもともと「死を招く風」だった チコちゃんがその発祥の地に迫る
『チコちゃんに叱られる』で春一番のルーツに迫る。本来は違う意味だった…?
6日に放送された『チコちゃんに叱られる!!』(NHK)で扱われたテーマのひとつ「春一番ってなに」に注目が集まっている。春に吹く南風として知られる春一番。これから春を思わせる言葉だが、本来は恐ろしい意味で使われていたようだ。
■「死を招く怖い風」
気になるチコちゃんの回答は「死を招く怖い風」という。世間で使われる春一番とは全く逆だがどういうことなのだろうか。
番組では、「春一番」発祥の地である長崎県・壱岐島にある郷ノ浦港へ取材に出向いた。島の人々に春一番のイメージを尋ねると、「怖い風。優しい風ではない」といった回答が続出。
江戸時代末期・安政の旧暦2月13日に春一番の風に吹かれ、漁をしていた53名の人が消えてしまったようだ。それも相まって春一番は島の人々から恐れられるようになった。
島では春一番は「春一」や「カラシバナおとし」と呼ばれていたが、この事故を機に春一番と名称を定めた。
■俳句と名曲がきっかけで
壱岐島の言葉であった春一番は、民俗学者・宮本常一の俳句の1つで春一番を季語に使い、その後気象庁が定義したと言われているようだ。
気象庁が定義する前は、報道各社の表現は「南の強風」「春を呼ぶ嵐」などバラバラだった。そこで、気象庁は春先に吹く強風を春一番とした。
元々、強い風というイメージだった春一番がなんとなく陽気なイメージになったのは、キャンディーズの名曲『春一番』が原因ではないかと番組では推測。作詞作曲した穂口雄右氏にインタビューすると「日本全体から異論はなかった」と話した。
■驚きの声相次ぐ
春一番は待ち遠しいものであるというイメージが先行していることから「春一番って怖いものだったのか…」「こう聞くと春一番って凄い怖いんだな」と驚きの声が相次いだ。
また、穂口氏への取材を見て、「そんな雰囲気で歌詞作ってるんだ。笑ってしまった」「インタビューの内容が雑でビックリした。けどみんな知らなかったし仕方ない」といったコメントも多くみられた。
春一番は、元来の意味とはかけ離れた意味になってしまった言葉だった。元々の意味とは変わってしまうのも言葉の面白さのひとつだろう。
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(文/しらべぇ編集部・Aomi)