林修氏が新型コロナ問題でワイドショーを批判 TV報道はどうあるべきか
『林修の今でしょ!講座』の新型コロナ問題についてテレビ報道批判を導入としながらテレビ報道の現状を評価する。
■足を引っ張るワイドショー
林氏はインフルと比較しており、なおかつ経済的リスクにも視野が及んでいるのだ。新型コロナそのものにおける最大の危機は「医療崩壊」にあることがイタリアなどの事例で明らかになっている。
PCR検査を促すことはまさしく医療崩壊につながりかねない。経済的リスクも含めあらゆる観点からして、冷静さを促すのがマスメディアの使命だろう。
それを「正しく恐れる」という有名なフレーズが表すのであり、連日のワイドショーによって不安を煽るTV報道は最も足を引っ張ったといえる。
■TV報道のあり方
林氏は、まさしくその点においてワイドショーを批判しているのだ。Twitter黎明期で情報が凝縮されていた3.11時と比べても、トイレットペーパー騒動に見られるように、SNSも今となっては弱点の一部。パニックを抑えることこそが肝要だ。
冷静さを保とうとしている1つのワイドショーをとりあげれば、 TBS系列の『ゴゴスマ』は、PCR検査を煽っていた医療ジャーナリストの森田豊氏の登板を3月9日以来ほとんどなくし、代わりに冷静な解説をする医師の後藤礼司氏の登板を増やしているようである。
■よい専門家とは何か
森田豊氏も医者なのではあるが、ジャーナリストの肩書きが政治的発言を促すのかもしれない。一方で、医者の肩書きのみの場合は専門の範囲を超えない冷静なコメントになりがちだ。
しかし後藤医師のコメントは経済や政治にも考えが及んでいるようにみえる。林氏もそうであるように、経済への深い知見を持ちながらのコメントが重要だ。
ジャーナリストでは広く浅い知見での不安を煽るコメントになりがちだが、ある程度広く深い知見でのコメントこそが重要なのである。
■リードするSNSメディア
TV報道が足を引っ張ったならば、今回活躍したのはなんだろうか。有益な情報はWeb上で多く発信された。
SNSは弱点でもあるが同時に強力なツールでもあったのだ。世界的な困難にはさまざまな深い知見を融合しなければならない。福祉政策論の分野では、このようにアイディアが力を持つ政策過程を言説政治という。
同様にSNSから発信される知見は大いに新型コロナ問題の展望を示していた。ワイドショーが信頼されるには広く深い知見を持つ専門家をSNSからいっそうに積極的にとり入れる必要があるだろう。
・合わせて読みたい→高須院長、「首相いじめてコロナ対策の邪魔するの止めて」 発言には賛否分かれる
(文/メディア評論家・宮室 信洋)