イタリアで47歳の救命救急士が新型コロナウイルスに感染 突然の呼吸困難で死亡
目に見えない新型コロナウイルスの脅威に強くさらされている救命救急士たち。自身の命を犠牲にしてしまう者も少なくないようだ。
新型コロナウイルスの蔓延を食い止められず、肺炎を起こした際の致死率は世界ワーストとも報じられるようになっているイタリア。そこで1人でも多くの命を救おうと尽力してきたある救命救急士が、まだ40代の若い命を落としてしまった。
■突然39℃の高熱
新型コロナウイルスの感染者において、最も高い致死率を記録しているイタリア・ロンバルディア州。そのベルガモ県で救命救急士として活動していたディエゴ・ビアンコさんという47歳の隊員が、同ウイルスに感染して亡くなったことが伝えられた。
3月7日に摂氏39度の高熱が出て12日のウイルス検査で陽性が判明し、体調の急変により14日に死亡したという。
■防護服に消毒も徹底
新型ウイルスの感染拡大により救急車の要請が急増し、現場では救命救急士らも一層気を引き締めて患者の搬送にあたっていた。ビアンコさんも頻繁な消毒を心がけ、防護服を常に正しく着用していたという。
マニュアル通りの防護体制を徹底して守っていた隊員が感染したという事実に、関係当局は大きなショックを受けている。
■突然の呼吸困難
高熱で体調不良に陥っても会話を交わすことができたビアンコさん。しかし妻が部屋を離れて間もなく呼吸困難に陥り、2時間後には心停止の状態で発見された。最愛の夫を亡くし、妻は8歳の息子を抱え悲しみに打ちひしがれている。
ビアンコさんの死に「精力的に仕事をこなし、1日半前までは元気だったのに」と肩を落とす職場の同僚たち。彼に続く感染者が出る可能性もあり、常にウイルスにさらされている彼らの不安もまた大きい。
■危険に立ち向かう職業だから
ビアンコさんが所属していた署ではいったんの閉鎖と建物全体の消毒作業を余儀なくされたが、一線で活躍し、指導にあたっていたベテランを亡くした喪失感は強く、隊員らの士気の低下も心配される。
イタリアでは、すでに700人を超える医療従事者、救助隊員の感染が報じられている。署は当局に対し、救急隊員や医療従事者にはより厳しい感染予防対策を講じ、より質の高い防護服の採用などを検討してほしいと訴えていく模様だ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)